活断層と震源断層

活断層と震源断層

 地震を引き起こす震源断層は、活断層の調査からどの程度推測することが可能なのか、今、私を悩ませている課題。
 何を今更、と言われるかもしれない。地震予測の王道として、地表地形に痕跡を残す活断層を調べて、その断層の長さと、地震発生層の厚さを基に、発生する地震の規模を推定するというのが、主流というか、ほぼすべての研究。
 断層や地震を専門とする訳でもない私が、こういう問題を提起しても受け入れられないかもしれない。しかし、それでも、原発の耐震安全性を検討する上で基本となるのが、活断層調査にもとづく地震規模の推定なのであり、原発の耐震設計はそれができると言うことを前提にしている。

   島根半島を東西に走る活断層
ー宍道断層は地下の岩盤中では破壊していない?!


  今年2月に、島根原発の安全性に関わって、日本共産党島根県議団、松江市議団に招かれて島根原発の耐震安全性を検討してお話しする機会をいただいた。これまでも何度か、島根原発の安全性を検討したことはあるが、今回、改めて島根原発敷地周辺の活断層と震源断層の分布を見て、なぜ、これほど違うのか、ちょっと説明がつかない現実に驚いた。

  第1図と第2図をよく見比べていただきたい。
 
微小地震  第1図 山陰から瀬戸内にかけての微小地震分布図。
 元データは高感度地震観測網・Hi-netの気象庁一元化処理データであり、期間は2002年6月から2016年02月まで。
 最初、中国電力による島根原発周辺の微小地震分布図(ほぼ同じ元データで作成されたもの)を見たとき、次の第2図との違いに驚いて、もう一度、こちらでも原データに当たって作成することが必要ではないか、ということで、新潟佐渡の元高校教師神蔵勝明氏にお願いして作成し直していただいた。私にはそんな力は無い。中国電力の図と大きくは変わらなかった。

活断層分布 第2図 島根原発敷地周辺陸域の活断層(中国電力作成:元データは活断層研究会編(1991)「日本の活断層」)

 第2図の中央右に、確実度Iとされる山崎断層系が走る。そして、この活断層の地下では比較的活発な微小地震が発生している、すなわち、岩盤破壊が進行している(第1図)。また、第1図の右下の大きな地震の集中している帯は、淡路島であり、兵庫県南部地震の余震域である。普通、活断層と呼ばれるものはこういうものだと思っていた。ところが、第1図と第2図を見比べると、島根県から山口県もしくは広島県にかけて走る帯状の震源断層はその一部は地表の活断層群に対応しているものもあるが、山陰の海岸沿いにほぼ平行して、走る地下深部での微小地震震源は、地表の活断層と対応するのはごく一部。
  しかし、第2図では小さくて見づらいが、島根原発の耐震安全性にとって、もっとも重要だとされてきた、原発敷地のすぐ南を走る宍道断層、更にその西にある大社断層、いずれも明瞭な活断層だが、その直下では地震の発生が認められないのである。

 地表地形に現れている、すなわち、かって、数度にわたってマグニチュード7クラスの地震に伴って形成された宍道断層は、今は地下では活動していない、すなわち岩盤で破壊が起こっていない、と言うことだろうか。

 一方、山陰の海岸に沿って走る震源の分布は、地表地形に現れる活断層よりも遙かに長く、地下では連続していることが見て取れる。とくに、島根県浜田市から山口県にかけて100km以上連続する震源は不気味である。

 なお、2000年に発生した鳥取県西部地震の余震の分布は島根県美保湾の南に北北西ー南南東に伸びる震源分布で示される。ただし、第2図では全く予測されていなかったことがわかる。
 第1図の海岸線に平行に見える震源の分布も、子細に見るとこの断層と同様、やや大きな地震を引き起こしたもの(赤丸で示される)は、それぞれ、一般的伸びに直行する北北西ー南南東の断層となっている。また、島根県中央部を北北西ー南南東に走るM3以上のやや大きな地震を起こしてきた北北西ー南南東の断層も、全く第2図にはない。

  活断層と震源断層の関係について、まだ、整理がつかない段階で紹介するのは心苦しいが、お知恵をお貸しいただければ、幸いである。

柏崎刈羽原発の沖合、佐渡海盆東縁断層と震源分布 

 この問題に関わって、柏崎刈羽原発の周辺も神蔵さんに描いていただいた。

新潟微小地震分布第3図 柏崎刈羽原発周辺の微小地震分布
 元データなどは第1図と同じ。

  2004年の中越地震、2007年の中越沖地震の震源付近には本震・余震が集中している。
  中越沖地震の震源の北方には,明らかに断層の連続が認められる。この一連の断層が佐渡海盆東縁断層(渡辺、2009)である。東京電力のいうF-B断層では、この断層を過小評価していることを示している。

 後日、補足します。

 


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活断層と震源断層

松江の山本實と言います。2月に「島根原発の安全性について」の講演会に参加させてもらいました。本タイトルにおける貴重な資料をありがとうございます。勉強させてもらいます。
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立石雅昭

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立石雅昭のブログへようこそ!
 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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