柏崎刈羽原発、敷地内外の断層の追加調査について

東京電力による柏崎刈羽原発の断層に関する追加調査
 ー地元研究グループの調査を反映・今後の注視が必要ー

 柏崎刈羽原発の再稼働を経営上の重要な戦略とする東京電力は、現在、原子力規制庁審査チームの指摘を受け、柏崎刈羽原発の敷地およびその周辺の断層について追加調査を進めています。この追加調査の内容は、柏崎刈羽原発の安全性に係わって、地元の研究グループや住民団体が長年にわたって解明を求めてきた諸点を含んでいます。ここでは、原発の危険に反対する取組として、柏崎刈羽原発についての断層調査に基づく運動を紹介し、各地での具体的な原発の危険に反対する取組を呼びかけます。

  注:この文章は原発問題住民運動全国連絡センター「げんぱつ」の4月25日号掲載予定のものですが、掲載されるものは編集の都合上、若干変わります。また、東電による下記掲載の図は誌面の都合上、掲載されていません。

追加調査計画 
青い楕円の範囲が敷地で、その調査計画は左上の表や図の左の表に書き込まれている。また、緑の円①が、刈羽村寺尾周辺の断層や褶曲の活動性を検証する調査地点。赤い円②が、真殿坂断層に関連した調査計画地点。

  
 規制委の指摘に基づく追加調査
 東京電力は昨年9月27日、原子力規制委員会に対して、柏崎刈羽原子力発電所の6・7号炉について新規制基準への適合性審査を申請しました。この申請に対して、規制委は11月28日、「申請内容に係わる主要な論点」として、地盤・地震関係9項目、津波関係1項目、プラント関係17項目を示し、今後特に詳細な説明を求めるとしました。この規制委の指摘に対して、東京電力は1月22日の事業者ヒアリングや1月24日の規制庁審査会合において、「敷地近傍および敷地の追加調査計画」を提出しました。そして、島崎邦彦規制委員を始めとする規制庁審査チームによる2月17日・18日の現地調査での「追加調査計画は概ね妥当」とする判断を受け、東京電力は現在、敷地内外で縦坑やボーリング掘削、トレンチ掘削などの追加調査を進めているのです。

 研究グループの長年の取組を反映
 規制庁審査チームが求めた追加調査は敷地近傍の断層や褶曲の活動性をあらためて評価することを目的としたものですが、この追加調査には重要な特徴があります。それは、ほかの原発に比して、柏崎刈羽原発では敷地内だけでなく、敷地外の断層の調査も求め、その調査計画についても審査チームが現地で確認したことです。再稼働に向けた東京電力や規制委の動きを受け、柏崎刈羽原発活断層問題研究会(代表:大野隆一郎)は、1月15日、原子力規制委員会に対して柏崎刈羽原子力発電所の敷地および周辺の断層について厳正な科学的審査を求める要請書(注:本ブログ内別記事に要請文や記者会見の模様あり)を送付するとともに、県庁で記者会見を行いました。この要請は、地元の研究団体である荒浜砂丘団体研究グループが1993年に学術誌に報告・記載した,敷地北東方600mの刈羽村寺尾の活断層など、原発敷地周辺の断層に関して、厳正な科学的審査を求めたものです。規制庁審査チームが、刈羽村寺尾の断層や、敷地の立地する丘陵と東の平野との境界部に想定される真殿坂断層などの追加調査が必要と判断したのは、この研究グループが地元住民団体と共同して長年にわたり敷地周辺の科学的調査を行い、原発の安全性に係わる問題点を指摘してきたからに他なりません。

断層の過小評価を続けた電力と国
 荒浜砂丘団体研究グループが1993年に報告した寺尾断層について、資源エネルギー庁は東京電力の調査報告を一方的に援用して、1994年、これを地すべりとする報告を出しました。更に中越沖地震後、荒浜砂丘団体研究グループが刈羽村西元寺で掘削したボーリングが立証した真殿坂断層の後期更新世における活動性に関しても、東京電力は地すべりとしました。追加調査は研究グループが指摘してきたこれらの断層の活動性についてあらためて調査を命じたということです。
 追加調査は敷地内とは別に、敷地近傍で5地点、おのおの10箇所ほどの群列ボーリングを行い、さらに刈羽村寺尾地点ではトレンチ掘削と群列ボーリングを行います。
 掘削したボーリング試料の分析や解析、掘削トレンチの壁面の観察・記載と解析、それらをもとにしたとりまとめには少なくとも半年以上はかかります。調査報告を受けた審査は現地調査を含めて2~3ヶ月は要するでしょう。勿論、問題とされる断層などについて追加調査を求めたからといって、東京電力による調査結果が科学的に厳密に審査される保障はありません。当然、東京電力の調査報告や規制庁審査チームの審査を引き続き注視しなければなりません。


 安倍自公政権は、規制委が新規制基準に適合していると判断した原発は再稼働させる、としている今、私たちはそれぞれの原発が抱える具体的な危険性について分析・解析し、再稼働を阻止する運動を住民、国民と共同して広げなければなりません。 
    立石雅昭 原発問題住民運動全国連絡センター代表委員

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原発問題住民運動石川県連絡センターなど北陸電力と規制委へ申し入れ

 4月14日、日本科学者会議石川支部や原発問題住民運動石川県連絡センターなど、志賀原発の地元4団体とともに、北陸電力と規制事務所に対して、志賀原発北9kmに位置する富来川南岸断層の厳正な調査を求める要請を行いました。

 申し入れは,3月の末に科学者会議や住民団体の方々とともに調査した原発敷地西から北にかけての海岸の波食ノッチの高度分布が、富来川南岸断層の活動性、とりわけ、6000年前以降の複数回の活動を明瞭に示したことに基づくものです。この波食ノッチの高度分布の調査結果は既にこのブログでも紹介しました.

 
 巌門3  志賀町巌門にみられるは食ノッチ


 次に規制委への申し入れをコピーします。



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                                 2014年4月14日
原子力規制委員会
委員長 田中 俊一 様
                        日本科学者会議石川支部
                        原発問題住民運動石川県連絡センター
                        原発問題住民運動能登地域連絡センター
                        原発を考える石川女性の会


志賀原発周辺の海岸に分布する海食ノッチに関する調査結果と
原子力規制委の対応に関する要望


 志賀原発の北約9kmに位置する富来川南岸断層は、活動すれば原発に重大な影響を与えると考えられます。
 日本科学者会議石川支部、原発問題住民運動石川県連絡センター、原発問題住民運動能登地域連絡センター、原発を考える石川女性の会(以下、「4団体」という)は2012年春以来、富来川の北岸と南岸の海成中位段丘において調査・解析を行い、富来川南岸断層の存在と更新世後期における活動性を裏付ける調査結果を得ました。この結果はすでに原子力規制委員会に、2回にわたって報告しています。
 志賀原発の北8kmの富来港から同原発の南4kmの志賀町小浦にいたる岩石海岸には、志賀原発敷地西方の海岸と同じく、波食棚(台)※1が見られます。福浦新燈台、福浦港の北方、巌門の岩石海岸には広い波食棚(台)が発達し、その陸側に海食崖※2が見られ、波食棚(台)にはたくさんの断層が走っています。
 4団体は、2013年10月に福浦新燈台下の海岸で海食ノッチ※3などの調査を行ったのに続き、2014年3月26~28日に、北から富来港、巌門、福浦港の北方、赤住港、小浦において海食ノッチの調査を行いました。

  ※1波食棚(台):主に潮間帯(満潮線と干潮線の間の地帯で、1日のうちに陸上になったり海中になったりする部分)にある平坦な台地で、崖の基部である高潮面から低潮面以下にわずかに傾斜しながら広がっています。
  ※2海食崖:海に面した山地や大地で、おもに波による侵食を 受けてできた崖をいいます。山地が沈降(あるいは海面が上昇)して急斜面が沈水すると、その斜面は波による侵食を受けるために、崖の下部に海食ノッチ※3ができます。下部がくぼむとやがて上部は崩れ落ち、これが繰り返されることで崖は後退していきます。
  ※3海食ノッチ:海食窪ともいい、波食作用や海水の溶解作用によって海食崖の下部にできる微地形で、奥行きより幅が大きいくぼみのことをいいます。なお、幅より奥行きが大きいくぼみは、海食洞といいます。

 2007年3月25日に発生した能登半島地震(マグニチュード6.9)を起こしたのは、北にのし上がる逆断層の運動でした。志賀原発の北約9kmにある富来川南岸断層も、逆断層と考えられます。この断層も能登半島地震と同じく、北にのし上がることによって地震を繰り返し起こし、そのたびに富来川南岸断層の南側が隆起していったと考えられます。そうであるならば、志賀原発をはさむ十数kmの海岸線にそって分布する海成中位段丘の海食崖に刻まれた海食ノッチも、南から北に向かって高くなることが予測されます。
今回の調査は、この仮説の証明を目的として、志賀原発をはさんで富来港から小浦までの12kmにわたる岩石海岸の海食ノッチについて、2013年10月に調査した福浦新燈台下の海岸とあわせて、合計6カ所で海食ノッチの高度を測量しました。
 調査の結果は、『北陸電力・志賀原子力発電所の周辺海岸に分布する海食ノッチの調査結果【速報】』に記載している通り、高位のノッチも低位のノッチも、南から北に向かって高度を上げていることを明確に示しました。高位のノッチは、その傾向をいっそう強く示しています。
 第四紀といわれる現在から約250万年前までのうち、氷期と呼ばれる特に氷河が発達した時期には、海面が世界中で下がったことが知られています。約2万年前の氷河最拡大期には、海面が120mほど下がっていました。一方、氷期が終わると海面が上昇してきます。約6000年前の縄文海進最盛期には、海面は現在よりも2~3mほど高くなり、約12~13万年前の最終間氷期最盛期も高かったことが知られています。
 富来港から小浦にいたる十数kmの岩石海岸の各地で、2段の海食ノッチが認められることは重要な意味を持っています。低い方の海食ノッチだけの1段しか存在していないと、約6000年前の海面がこの高さにあって、その後の隆起を考えなくてもよいと解釈することができます。しかし、高い方の海食ノッチがあれば、12~13万年以降の度重なる地震に伴う隆起を考えなければ説明できません。12~13万年前の海面は、約6000年前の海面とほぼ同じであったため、隆起がなかったら2段の海食ノッチが形成されることはないからです。
志賀原発をはさむ十数kmの海岸線にそって分布する海食ノッチの高度分布から,富来川南岸断層が12~13万年間、継続的に隆起してきたことは明らかです。約6000年前の縄文海進期にできたと思われる低位の海食ノッチも、高位のノッチと同様に北に向かって高くなっており、継続した隆起運動が約6000年前以降も同じように続いていることも示しています。
 4団体は、富来川の北岸と南岸で海成砂層の調査・解析を行うことによってM1面の高度変化を解析し、富来川南岸断層の存在と更新世後期における活動性を裏付ける調査結果を得ました。今回の調査結果は、富来川南岸断層の存在と活動が動かしがたいものであることを示しています。志賀原発敷地直下だけでなく、周辺の活断層群の徹底した調査を早急に行うべきです。
 原子力規制委員会が2014年3月24日に行った志賀原発の活断層問題に関する評価会合でも、「2007年能登半島地震をはじめ、1892年にはかなり近くで地震が起こっている。兜岩沖断層、碁盤島沖断層の活動性の評価、ずれがどうなっているかの評価が重要だ。大きな目で見た時、どのくらいの規模の地震が起こり得るかを考える上で、近傍の断層について検討する必要がある」(藤本委員)、「富来川南岸断層、酒見断層などについても、検討したデータがあれば、提示してもらいたい。敷地内断層と周辺の断層の関連性はどうなのか」(廣内委員)との指摘が出されています。
 上記のことをふまえて、以下のことを貴職に要望します。誠意ある対応を求めます。

               記

1, 4団体の「石川県・富来川南岸断層、福浦断層、志賀原発敷地周辺の断層群に関する調査報告」「北陸電力・志賀原子力発電所の周辺海岸に分布する海食ノッチの調査結果【速報】」をふまえて、原子力規制委員会として、富来川南岸断層について科学的で国民の納得が得られる調査を行うこと。北陸電力にも信頼に足る調査を実施させ、公表させること。

2, 原発の新しい安全基準の作成をふまえたバックフィットにあたって、富来川南岸断層、福浦断層の活動もふまえて志賀原発の基準地震動を再検討すること。

3, 4団体の「石川県・富来川南岸断層、福浦断層、志賀原発敷地周辺の断層群に関する調査報告」、「北陸電力・志賀原子力発電所の周辺海岸に分布する海食ノッチの調査結果【速報】」に関して、原子力規制委員会としての説明聴取と、更新世後期における活動性を裏付ける調査結果を得た露頭などの現地見学を行うこと。また、これらの露頭などについて、北陸電力も同席のもとで検討会を行うこと。

以上
プロフィール

立石雅昭

Author:立石雅昭
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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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