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福井の原発群と地震・断層

福井の原発群と地震・断層


「大阪から公害をなくす会」(連絡先は下に)から依頼されて、ニュース原稿として表題の原稿を送りました。参考に、ここに再掲しておきます。


政府と関西電力(株)は福島原発事故の検証も不十分なまま、福井県大飯原発を強引に稼働させてきたが、昨年9月に、その大飯原発も定期点検に入り、日本の原発はすべて停止した。電気の需要の多い冬場と夏場が原発なしで乗り切れることが明白になったにもかかわらず、政府と原子力規制委員会は多くの国民の声に背を向け、鹿児島県川内原発を皮切りに次々と原発を再稼働させようとしている。日本の電力事業者の中でももっとも原発への依存度の高い関西電力は、大飯原発と、同じく福井県の高浜原発を再稼働させるべく、規制基準への適合性審査を申請している。日本の規制基準自体が国際原子力機構(IAEA)が求める世界の標準的な基準にくらべて劣っているだけでなく、規制委員会自身が基準に合格しても、安全だと言えないというのだから、無責任も甚だしい。ここでは、福井の原発群が抱える特別の危険性を断層と地震の側面から改めて見てみよう。 

 活断層の集中する近畿トライアングル
若狭湾を頂点とし、伊勢湾、淡路島をむすぶ三角形の地域で、南北方向の山地と盆地(湾)が交互の配列する地形が見られる地域は近畿トライアングル(三角地帯)(Hujita, 1962)と呼ばれます。三角形の南の辺は和歌山県の吉野川沿いから三重県鳥羽にぬける中央構造線、東の辺は伊勢湾から北へ、養老-桑名―四日市断層帯を経て、越前海岸沖に達する柳ヶ瀬・関ヶ原断層帯、西の辺は、六甲-淡路島山地断層帯から有馬-高槻断層帯を経て、比良山地の西を走る花折断層から若狭に達する三方断層に囲まれた地域です(図1)。

近畿トライアングル  
図1 近畿トライアングル(三角地帯)に集中する活断層  →は横ずれ断層でずれの方向。→の無い断層は、逆断層。

  この地域の地形は山地とその間の盆地や湾の交互の配列で特徴付けられますが、藤田和夫(Hujita, 1962)はこれらの地形は、大阪層群などと呼ばれる鮮新世から前期更新世の地層が堆積した後、中期更新世(70万年から13万年)以降、東西圧縮によって、南北に延びる盆地と山地が交互に配列する波状変形が生じ、その盆地と山地の境界には横ずれ断層や逆断層ができたと考え、この地殻変動を六甲変動と呼びました。福井県の原発が集中する敦賀湾から若狭湾一帯はこの三角地帯の頂点に当たり、活断層が網の目状に発達しています(図2)。
若狭湾・敦賀湾周辺の活断層  
 図2  若狭湾・敦賀湾周辺の活断層 (関西電力などの資料を基に作成された図ですが、断層の名称は地震調査研究推進本部のものとは異なるものもあります。

 西日本における地震活動の周期性 
 近畿トライアングルの西の辺をなす六甲-淡路島断層帯が引き起こした地震が1995年の兵庫県南部地震です。この地震を機に、日本列島はそれまでの地震静穏期から活動期へと移行しました。尾池和夫(2007)はその著「新版活動期に入った地震列島」(岩波科学ライブラリー)で、近畿トライアングルを含めた西日本地域の地震活動の周期性と南海トラフ沿いの巨大断層との関係などを整理して、2040年~50年頃まで活動期が続き、その活動期のピーク時にM8クラスの巨大地震が南海トラフ沿いで発生するとともに、その巨大地震に先行して内陸でM6.5から7クラスの地震が頻発すると予測しています。ただし、1944年、1946年の東海・東南海地震の余震として、1948年にM7.1の福井地震が発生するなど、南海トラフ沿いの巨大地震の後、しばらくは北陸地域で地震活動が活発化する傾向があるとされています。

近畿トライアングルは地震の空白域
 空白域というのは地震がいつ発生しても良い地域であるにも関わらず、ここしばらく大きな地震の活動がない地域をいいます。近畿トライアングルでは、1662(寛文2)年に三方・花折断層北部を震源として、近江・若狭地震(M7.3~M7.5)が発生し、多数の死者を出しました。1854(安政元)年の伊賀上野地震では1500人以上の死者が出ています。以降、1891年に濃尾地震(M8.0)や、1927年の北丹後地震(M7.3)、1948年の福井地震(M7.1)など、周辺地域で大きな地震が発生していますが、トライアングル内ではさほど大きな地震が発生していません。近畿トライアングル、特に敦賀湾・若狭湾一体には活動性の高い活断層が多数分布しているにもかかわらず、近年さほど大きな地震が発生していないことから、この地域は大きな地震が発生する可能性が高く、地震空白域と言えます。

 福井の原発群は廃炉にするべき
 大飯原発の運転差し止めを認めた5月21日の福井地裁判決は、関西電力(株)が大飯原発が耐えられないと認めた加速度1200ガルを上回る地震動が、原発に襲来する可能性を否定できない、としました。判決は様々に科学的装いを凝らしても、現実にいろいろな地点で襲来した地震動を正確に予測しえない現在の科学のレベルを鋭く指摘しました。この判決は、大飯原発だけでなく活断層が密集する福井県嶺南地域の14基の原発群の危険性を明示しました。事故が起これば、近畿の水瓶、琵琶湖の汚染は必至であり、福井だけでなく、滋賀、京都、大阪の何千万という人々が命の危険にさらされます。福井原発群の廃炉を求める運動を一層高めましょう。

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なお、制限字数の関係で、掲載できなかった、尾池和夫先生の「西日本の地震活動の周期性に関する図を下に示しておきます。
西日本の地震活動の周期性
この図は平成20年、中央防災会議東南海、南海地震等に関する専門調査会座長の土岐憲三氏が、尾池さんの原図をもとに作成され、講演で用いられた図です。

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大阪から公害をなくす会
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プロフィール

立石雅昭

Author:立石雅昭
立石雅昭のブログへようこそ!
 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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