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原発を拒否した巻町住民の運動

原発を拒否した巻町住民の運動

 この3月10日、東京堂出版から刊行された「核の世紀」(編者小路田泰直・岡田知弘・住友陽文・田中希生)に、「地域と原発」と題して寄稿した。この寄稿文では、「原発建設を阻止した運動の教訓」という節で、新潟県巻町における日本で初めて住民投票でもって原発建設を阻止した運動に学ぼうとの趣旨で自分なりに当時の運動を整理した。この住民投票が行われて20年となる。
 新潟では,更にその後、東京電力が柏崎刈羽原発でプルサーマルを導入しようとしたとき、刈羽村で住民投票が行われ、このときも導入反対の意見が多数を占め、新潟県と柏崎市・刈羽村の首長三者は、柏崎刈羽原発へのプルサーマル導入に反対せざるを得なくなり、東京電力をして断念させたのである。

 柏崎刈羽原発の再稼働を巡って、原子力規制委員会で審査が続けられ、地盤や断層,基準地震動など、柏崎刈羽原発の審査の山とされてきた課題がおおむね妥当とされた現在、県民・住民の多数が「再稼働には反対」と考えている中で、再稼働を現実的に阻止していく運動において、私は巻原発の建設を拒否した当時の町民の運動,プルサーマル導入を拒否した刈羽村の運動にあらためて学ぶべきだと思っている。

  「核の世紀」への寄稿「地域と原発」の一文を,少し長くなるが次に引用する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
建設予定地の角海浜から13kmに位置する新潟大学では、1994年に巻原発建設反対新潟大学連絡会を結成し、現地巻町の町民会議や全県の連絡会と連携しつつ、署名やアピール活動、講演活動などに取り組んだ。筆者はその事務局を担っていたが、住民投票の結果について次のように報告した。

8月4日、新潟県巻町で東北電力巻原子力発電所の建設の賛否を問う住民投票が行われた。その結果、建設反対という巻町住民の意思が明確に示された。この結果は国・電力資本に対しエネルギー政策の転換を求めると同時に、日本政治の民主的改革を進める道筋の一つを示した。巻町住民投票の経過と結果を、日本国憲法の柱の一つである住民主権と地方自治という観点から報告する。

政治状況を打破する質的に高い運動:
国政において国民の総意と相反する政策が相次いで進められ、一方、地方自治体は国政に唯々諾々として従っているのが大勢である。このような政治状況の中で、住民投票の実現を勝ち取り、成功に導いた運動は住民自治に根ざした地方政治のあり方を指し示しただけでなく、エネルギー政策という国策の中心的課題をも揺るがすものであった。現在の政治状況において住民運動・労働運動を軸に政治に民主主義を求める闘いはさまざまな分野で発展している。しかし、巻町の運動は、町政の主人公であるすべての住民が、自らの命と生活、将来の町のあり方について自らの意思を表明し、政策を決定するという、これまでの運動とは質的に異なる、より高次の民主主義確立の運動であった。

運動の中での住民の自治意識の高まり:
巻町は従来、政治的には保守的風土の強い地域で、首長や議員選挙において『西蒲原選挙』と呼称される酒食供応・買収が横行していた。そうした風土にもかかわらず、ここ数年間の住民の自治意識の高まりは予想をはるかに越えたものであった。巻町の反原発・原発の危険に反対するグループの原発の建設に反対する地道な運動(*今回の運動の発展の中で、『住民投票』で原発建設を止める6団体連絡会)として共闘)が粘り強く進められていた。こうした運動が基調になってはいるが、今回の運動は、町の将来を全住民による投票で決めるという、原発建設に賛成の人をも含めたより広範な住民団体(住民投票を実行する会)との共同が作られたことが、勝利への展望を切り開いた大きな要素である。そして、両者の運動はそれぞれ、独自に創意・工夫を凝らしながらも、ともに住民への厚い信頼に支えられて進められた。科学技術庁や電力会社の金に糸目をつけない総力を上げた宣伝や供応の動きに対しても、的確な反論・批判を行いながら、なお、住民への厚い信頼を基調とした運動が展開されたのである。

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 当時の感想めいた一文は今でも基本的には正しいと思う。
 巻での運動、刈羽村での運動、に参画させていただいてきた者として、今改めて、こうした運動から学び、柏崎刈羽原発の再稼働を止めるためには何が,どういう運動が必要か。いろいろな方のご意見もいただきたい。

 「原発を拒否したまちー巻原発住民投票20年」毎日新聞連載

  時あたかも、この3月22日から毎日新聞で表題の連載が始まった。
  連載記事はまだ続くと思われるが、とりあえず、今日までの4回分の記事を参考までに掲げておく。

毎日新聞巻年表 初日に掲げられた年表である。

毎日新聞巻特集1

毎日新聞巻特集2

毎日新聞巻特集3

毎日新聞巻特集4



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活断層と震源断層

活断層と震源断層

 地震を引き起こす震源断層は、活断層の調査からどの程度推測することが可能なのか、今、私を悩ませている課題。
 何を今更、と言われるかもしれない。地震予測の王道として、地表地形に痕跡を残す活断層を調べて、その断層の長さと、地震発生層の厚さを基に、発生する地震の規模を推定するというのが、主流というか、ほぼすべての研究。
 断層や地震を専門とする訳でもない私が、こういう問題を提起しても受け入れられないかもしれない。しかし、それでも、原発の耐震安全性を検討する上で基本となるのが、活断層調査にもとづく地震規模の推定なのであり、原発の耐震設計はそれができると言うことを前提にしている。

   島根半島を東西に走る活断層
ー宍道断層は地下の岩盤中では破壊していない?!


  今年2月に、島根原発の安全性に関わって、日本共産党島根県議団、松江市議団に招かれて島根原発の耐震安全性を検討してお話しする機会をいただいた。これまでも何度か、島根原発の安全性を検討したことはあるが、今回、改めて島根原発敷地周辺の活断層と震源断層の分布を見て、なぜ、これほど違うのか、ちょっと説明がつかない現実に驚いた。

  第1図と第2図をよく見比べていただきたい。
 
微小地震  第1図 山陰から瀬戸内にかけての微小地震分布図。
 元データは高感度地震観測網・Hi-netの気象庁一元化処理データであり、期間は2002年6月から2016年02月まで。
 最初、中国電力による島根原発周辺の微小地震分布図(ほぼ同じ元データで作成されたもの)を見たとき、次の第2図との違いに驚いて、もう一度、こちらでも原データに当たって作成することが必要ではないか、ということで、新潟佐渡の元高校教師神蔵勝明氏にお願いして作成し直していただいた。私にはそんな力は無い。中国電力の図と大きくは変わらなかった。

活断層分布 第2図 島根原発敷地周辺陸域の活断層(中国電力作成:元データは活断層研究会編(1991)「日本の活断層」)

 第2図の中央右に、確実度Iとされる山崎断層系が走る。そして、この活断層の地下では比較的活発な微小地震が発生している、すなわち、岩盤破壊が進行している(第1図)。また、第1図の右下の大きな地震の集中している帯は、淡路島であり、兵庫県南部地震の余震域である。普通、活断層と呼ばれるものはこういうものだと思っていた。ところが、第1図と第2図を見比べると、島根県から山口県もしくは広島県にかけて走る帯状の震源断層はその一部は地表の活断層群に対応しているものもあるが、山陰の海岸沿いにほぼ平行して、走る地下深部での微小地震震源は、地表の活断層と対応するのはごく一部。
  しかし、第2図では小さくて見づらいが、島根原発の耐震安全性にとって、もっとも重要だとされてきた、原発敷地のすぐ南を走る宍道断層、更にその西にある大社断層、いずれも明瞭な活断層だが、その直下では地震の発生が認められないのである。

 地表地形に現れている、すなわち、かって、数度にわたってマグニチュード7クラスの地震に伴って形成された宍道断層は、今は地下では活動していない、すなわち岩盤で破壊が起こっていない、と言うことだろうか。

 一方、山陰の海岸に沿って走る震源の分布は、地表地形に現れる活断層よりも遙かに長く、地下では連続していることが見て取れる。とくに、島根県浜田市から山口県にかけて100km以上連続する震源は不気味である。

 なお、2000年に発生した鳥取県西部地震の余震の分布は島根県美保湾の南に北北西ー南南東に伸びる震源分布で示される。ただし、第2図では全く予測されていなかったことがわかる。
 第1図の海岸線に平行に見える震源の分布も、子細に見るとこの断層と同様、やや大きな地震を引き起こしたもの(赤丸で示される)は、それぞれ、一般的伸びに直行する北北西ー南南東の断層となっている。また、島根県中央部を北北西ー南南東に走るM3以上のやや大きな地震を起こしてきた北北西ー南南東の断層も、全く第2図にはない。

  活断層と震源断層の関係について、まだ、整理がつかない段階で紹介するのは心苦しいが、お知恵をお貸しいただければ、幸いである。

柏崎刈羽原発の沖合、佐渡海盆東縁断層と震源分布 

 この問題に関わって、柏崎刈羽原発の周辺も神蔵さんに描いていただいた。

新潟微小地震分布第3図 柏崎刈羽原発周辺の微小地震分布
 元データなどは第1図と同じ。

  2004年の中越地震、2007年の中越沖地震の震源付近には本震・余震が集中している。
  中越沖地震の震源の北方には,明らかに断層の連続が認められる。この一連の断層が佐渡海盆東縁断層(渡辺、2009)である。東京電力のいうF-B断層では、この断層を過小評価していることを示している。

 後日、補足します。

 


プロフィール

立石雅昭

Author:立石雅昭
立石雅昭のブログへようこそ!
 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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