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柏崎刈羽原発と東電救済策

 経産省が12月9日に開催した第6回「東電改革・1F問題委員会」。ここで経産省は福島第一原発の賠償・除染、廃炉と汚染水対策の総費用を三年前の見積もりの倍、21兆5000億とした。その費用、とりわけ、賠償費用を今後何10年にもわたって電気料金として国民にも負担させる等々、この委員会の目的はまさに、「原発という安い電力で恩恵を受けた国民」の負担で「東電を救済」する道筋作りと言える。
 そして、この「改革」なるものの柱が、東電柏崎刈羽原発の再稼働。東電への不信払拭のために、国が前面に出るとともに、「先進的」な同業者との連携、共同企業体によって再稼働を進める、と謳う。知事選において示された県民の意思や思いに逆行する、柏崎刈羽原発再稼働ありきの東電救済策の問題をみんなで考えたい。

東電1号機 

 提言原案骨子案http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/touden_1f/pdf/006_01_00.pdf)
に示された「II.福島への責任、国民への還元を目指した非連続の経営改革の姿」の「1.再編、統合に向けた共同事業体の設立」で、次のように謳う。
   5)柏崎刈羽原子力発電所は重要課題。

      自主的バックフィットに対する躊躇

      メルトダウン隠蔽問題を生みだした体質の根本的治癒

      地元本位の事業体制

      安全優先の組織文化

      規制要求を越える自立対応理念

      先進的な他電力の協力も躊躇無く要請

      他の原子力事業者を越える改革

 

新潟県の「原発の安全管理に関する技術委員会」での議論も踏まえつつ、これらの項を見るとき、私は少なくとも次の3つの点を、県民が共有してほしい課題だと感じています。

   

まず、安全優先の組織文化

はじめに再稼働ありき、そのための組織再編、というこの改革案の流れ自体が「原発」の危険性を後方に追いやる発想です。安全優先というならば、安全、すなわち、県民の命と暮らしが守れるかどうかが問われるのであり、県民の安心のためには何が重要かを示すべきです。少なくとも、「新しい規制基準は世界一」といううたい文句を撤回し、福島原発事故の教訓をくみ尽くす姿勢が見えない限り、安全優先とは言えません。


 次に、隠蔽体質

隠蔽は東電だけではありません。ムラぐるみの隠蔽体質こそが問われています。

 メルトダウンという技術的用語について、原発関連事業者はもちろん、規制機関を含む政府も、そして研究者も、メルトダウンの定義・判断基準が存在することを知らなかった、という言い訳はあり得ません。受け取れば、直ちに避難命令を発しなければならない「15条通報」の項目には「炉心溶融=メルトダウン」が存在します。この用語の定義存在を5年間隠してきたのは、官邸、経産省も含む、ムラです。東電が隠蔽と言わざるをえないとしたこのことについて、政府・経産省、そして、ほかの電力事業者は自らの組織的対応の過ちを一切不問にしています。安全文化、隠蔽体質について語る資格を有しません。


 3つめ、先進的他電力の協力を要請。

 ここに言う先進とは何か。九電、関電、四電を言うのか、そこでどのように地元同意を取り付けたかを学ぶべし、協力を仰げ、という提起は、「本末転倒」。それとも、東電が無視し、対策を怠った津波の試算結果について、対応していた東北電力を先進としているのだろうか。東北電力管内に立地する柏崎刈羽原発の再稼働に東電と共同で当たれ、という「国策」?

 連携して別会社を作るが、その儲けは東電救済に回す、って、資本主義における民間企業のありようとは考えられない発想ですね。


 「国が前面に出る」とはこういう国民負担による東電救済策を国民に押しつけることなのでしょうかね。

 まだ、思いつきにすぎない。しかし、黙っていると、原発を進め、そこから多大な密を得てきたムラの権力の意向の元で、私たちの負担と危険性が増大する事態を看過できません。旺盛で闊達な議論をお願いしたいですね。

 なお、参考までに、この問題に関しては、全体として、東洋経済online原発処理21.5兆円、東電支援策は不安だらけ(http://toyokeizai.net/articles/-/149084)がおすすめ。

 また、この項を考える機会を与えていただいた、新潟日報東京支社の記者の方に御礼申し上げます。日報では、丹念な取材を踏まえて、関連した記事作りを進めているとのことです。

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柏崎刈羽原発の地下水問題

 12月3日、柏崎刈羽原発差止訴訟原告弁護団で地下水問題を学習しました。内容を簡単に報告します。


柏崎刈羽原発での地下水くみ上げ量は福島第1の4倍


 今なお、収束のめどが立たない福島第1原発。その収束・廃炉を妨げている要因の一つは膨大な汚染水を今なお生み出している地下水。稼働時のくみ上げ量は毎日800トン。

 しかし、柏崎刈羽原発では毎日2千数百トンから3千トンがくみ上げられている。新潟では積雪の影響で、冬場の地下水量が多い。(表1)。


サブドレイン排出量 表1: 柏崎刈羽原発の毎日の地下水くみ上げ量(平成26年度と27年度)

 この膨大な地下水の流入に対して、建屋周辺に流れ込む地下水を集め、排水する設備が設置されている。 原子炉建屋の下には集水管が網の目状に施され(図1・図2)、原子炉建屋やタービン建屋の四隅に掘られたドレインに導かれる。ドレインに流入した水が一定の高さになると、ポンプが働き、排水路を経て、海に流される仕組みである。図1の緑色は鮮新~更新統の西山層、黄土色は埋め戻し土である。
サブドレイン断面(7号機)図1:サブドレイン設備断面図
集水管設置状況   図2:サブドレイン配置平面図と断面図

 浮力で建屋を浮かす地下水ー事前調査は必須

 
 なぜ、こんな地下水対策が施されているのか、それは、この膨大な地下水による浮力が建屋を浮かすからです。従って、当然、建設前に地下水の量やその流れのシステムの解析が行われます。
 
 柏崎刈羽原発差止訴訟の原告弁護団では、昨12月3日、柏崎刈羽原発1号機の建設前に敷地の地下水の調査を担当された,元電力中央研究所の本島 勲さんをお招きして、勉強会を開きました。

 これまで、東電は原告側からの地下水に関する求釈明に対して、十分な回答を寄せていませんでしたが、それは地下水に関してほとんど注目せず、資料の管理もずさんであったことの裏返しでもあります。
 本島さんは1975年と76年の調査に基づいて、79年に調査報告を出されました。それに沿って必要な普段の地下水に対しては対策がとられているとのことです。
 その調査報告では敷地内で網目状に掘った井戸の地下水位データを元にした、等地下水位線も描かれていた由です。等地下水位線図(図3)があれば、表2の透水係数や地層の分布をもとに、地下水の流れも解読できます。
等地下水位線 
図3:柏崎刈羽原発の等地下水位線図(網目交点に掘られた井戸の地下水面の高度から描かれている)。この図と、地層各層の上限面図など地質との関連の解析が必要)
透水係数 表2: 敷地を構成する地層の透水係数

 この各層の水の通しやすさを示す透水係数は、試料を採取し、実験で求めます。この表では安田層
は一つの値になっていますが、東電自身の現在の知見で言えば、安田層は中期更新世から後期更新世にかけての堆積物で、その性状もかなり多様です。一つの代表値で表すのは間違っています。
ちなみに、柏崎刈羽原発の1~4号機側に設置された防潮堤が地震に伴う液状化を引き起こす可能性が否定できないことが大きな問題になっていますが、このことはとりもなおさず、これまで液状化しないとしてきた「安田層」のより詳細な解析でもってその可能性が出てきたものです。

中越沖地震直後急増したくみ上げ量


2007年の中越沖地震のあと、このくみ上げ量は表3に見るように、急増しています。
地震直後くみ上げ量 表3:中越沖地震前後の柏崎刈羽原発における地下水くみ上げ量

  その理由は現在のところ全く不明です。9月以降のデータがあるのかどうかも分かりません。


地震によるサブドレインシステムの損傷は未検討


 問題は、地震による影響が考えられていないことです。ドレインは一般建設物と同じ耐震性にすぎず、
大きな地震動が襲えば、福島第1と同様、ドレイン自体が地震動で損傷したり、液状化を引き起こし、その機能を失わせ、膨大な地下水が建屋を浮かそうとするでしょう。

 こうした地震時の対策がとられていないこと、そして、それらのドレインなど地下水対策が、規制基準には含まれず、審査対象外にされています。
 福島事故の教訓を踏まえるならば、当然、地下水に対する対策がどのように施されているか、審査するきです。
プロフィール

立石雅昭

Author:立石雅昭
立石雅昭のブログへようこそ!
 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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