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北陸電力志賀原発敷地とその周辺の活断層最終報告について

  昨日(2013年12月19日)、北陸電力((株))は石川県志賀原発の敷地及びその周辺の活断層に関する調査結果をプレス発表という形で公表しました。概要2頁だけですが、ここに貼り付けます。ご関心お有りの方は、北陸電力のHPから見てください。
 この間、住民団体とともに、周辺の断層調査を進めてきた立場から、以下にその報告書の問題点を書き留めます。なお、この文章は地元住民団体の方々にもお送りさせていただいております。

陸電最終報告1

陸電最終報告2

 1.敷地内シーム群の活動性評価の非科学性
 (1)敷地内に認められるシーム群(S-1からS-8)の分布は、一見して、これらの破断が北北西―南南東の圧縮応力によってほぼ同時期に形成された共役断層であることを示しています。この応力の配置は、能登半島におけるGPS観測による地表のひずみ方向やプレート配置から推定される現在の応力分布とは調和的ではありません。しかし、北北西にのし上がったM6.9の2007年の能登半島地震とは調和的ですし、南に位置する邑知潟断層帯の動きとも調和的です。敷地内シーム群の活動性について、能登半島の地塊構造や現在の地殻変動との関係で解析を行わなければ、その活動性を科学的に否定したことにはなりません。
 (2)断層活動に伴うシームS-1の活動時期に関して、北陸電力はトレンチなどの調査・観察で、シームの上に重なる地層の変位・変形から、その活動時期を推定し、将来活動する可能性を否定しています。敷地前面の海岸での断層を見れば、同方向に延びる断層が多数存在することは明らかであり、敷地内においても既に知られた断層以外にも平行して多数の断層が想定されます。これらの断層群が活動する時、異なる挙動をする可能性が高いのです。北陸電力の報告は、トレンチ調査などで対象としたシームS-1が、原子炉建屋直下のS-1と同一のものである、とする根拠が不十分で、恣意的選択の可能性が排除できません。
 (3)2012年7月の「地震・津波に関する意見聴取会」で、委員から「典型的な活断層」と指摘された設置許可時のトレンチスケッチのS-1シームに沿う段差を2013年6月の報告と同様、海岸浸食によるものとしていますが、北陸電力による調査においても、このシームS-1は深さ300mに達する破断面であり、明らかに断層運動によってできたものです。北陸電力はまず、シーム群が断層運動でできたものであることをまず認めるべきです。その上で、シームS-1の活動時期を検証するには、上載する新しい地層のずれとともに、その地層の変位・変形がどこまで及んでいるかを、地層の層状構造や構成する粒子群の配列などの検討から解析しなければなりません。防潮堤基礎部や海岸の断層に沿った地形と似ている、というだけの論拠で、新しい時期の活動を否定するのは非科学的と言わざるを得ません。

2.福浦断層との関連性否定の科学的論拠の不十分さ
 (1)北陸電力は志賀原発の設置許可申請時、原発の東1.5kmの地点をほぼ南北に走る福浦断層を活動性無しとしてきましたが、今回の報告で初めて、「12~13万年前以降の活動性が否定できない」ことを認め、はじめて福浦断層を耐震評価の検討対象としました。しかし、評価の結果の詳細は明らかにされていませんが、「安全性に影響を与えるものではない」との結論を導いています。北陸電力はこの福浦弾道の長さを2.7kmと推定しています。今日の活断層と地震の規模に関する調査・研究の到達点で言えば、地表に地震断層として痕跡を残す地震の規模はM7.2以上とされています。勿論、それより小さい規模でも地震断層が現れることもありますが、M7.2でも現れない場合も知られています。こうした科学の最前線の知見からすれば、志賀原発敷地東1.5kmのところでM7.2を想定し、入力しなければなりません。福浦断層が活動しても「安全性に影響がない」というならばその論拠を示すべきです。
(2)北陸電力は福浦断層と敷地内シーム群との関連を否定しています。その論拠は、シームS-1が福浦断層に連続しないから、というものです。先にも述べたようにS-1の延びに対する恣意的選択を別にして、仮に連続しないとしても、敷地内シーム群がどのようにして形成されたかも解析しないで、連続していない、すなわち福浦断層から派生していない、と言う論拠だけで、福浦断層と敷地内シーム群との関連を否定する論法は「結論ありき」の解析だと言わざるを得ません。シーム群がどのように形成されたと考えるのか、明らかにするべきです。北陸電力は「周辺の断層が活動したと想定し、地殻変動に伴う影響などを数値計算に基づき解析した結果、シームは剪断破壊しないことを確認」、とありますが、机上の計算では関わりがないように解析することができるようにパラメータを入れれば済むことで、これでは関わりを否定したことにはなりません。福浦断層の活動を引き起こす応力や福浦断層が活動した時の周辺の岩体への副次的影響などを、入力するパラメータとともに明らかにするべきです。
周辺で大きな地震が引き起こされた時も、敷地内シーム群が動かないと言うことを立証するべきです。

3. 敷地並びに周辺地域の12~13万年前以降の隆起変形を無視。
北陸電力の最終報告の最大の問題は、志賀原発が高度20m前後に達する海成の中位段丘面に立地するという厳然たる事実を無視していることです。海成中位段丘は12~13万年前、現在とほぼ同じ海面高度で堆積した海成の地層から成っています。したがって、志賀原発が立地する段丘は、12~13万年の間に、20m前後まで隆起してきたことが明らかです。それが地震の度に間欠的に隆起してきたものかどうかの検討なしに、志賀原発の耐震安全性を確認する事はできません。


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立石雅昭

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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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