活断層を地すべりと強弁する東京電力

敷地直近の寺尾断層を地すべりとした東電並びに資源エネルギー庁 - 規制庁はあらためて全面的な科学的調査を! 

 柏崎平野の形成過程の調査を進めていた荒浜砂丘団体研究グループ(荒浜は地名)(私も一人のメンバーとして参加)は1991年、柏崎刈羽原子力発電所の敷地の北東方、約1.5kmに位置する刈羽村寺尾の土砂採取場で、後期更新世の安田層とその上位の番神砂層、そして、それらによって不整合で覆われる鮮新世から前期更新世の椎谷層、西山層を切断する規模の大きな断層を見いだし、調査・解析を行いました。さらに翌年にはその近傍でユンボによるトレンチ掘削を行い、断層の性状を詳しく調査しました。
 これらの調査成果は学会で発表したり、学術雑誌に投稿しています(荒浜砂丘団体研究グループ、1993,地球科学47巻4号)。
 原子力発電所敷地を含む西山丘陵地域が12~13万年前以降、活断層を含む地殻変動を被った場であることを如実に示すこうした研究成果に対して、地元住民団体や国会議員による要請もあり、東京電力は独自に調査を行って、これらの断層をいずれも地すべりとする見解を明らかにしました。さらに資源エネルギー庁は1994年、その東電の報告をもとにこれらの断層を「地すべり」としました.
 以降、寺尾断層は、2007年の中越沖地震後も触れられることはありませんでした。昨年、安全保安院の下での地震・津波に関する意見聴取会で、この断層への言及があり、敷地内の建屋直下の断層群の活動性と関わって、あらためてその実態の解明が求められています。年明けにも、柏崎刈羽原子力発電所の断層問題として再整理し、規制委に厳正な科学的調査を申し入れる予定でいますが、ここではどのような断層が問題になっているのかを簡単に説明しておきます。

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 この土砂採取場は高さが30mを越す砂丘地で、安全のために5mごとに段切りがされています。左の写真は高さや距離を計測しているところで、中央部下から上に並ぶポールが断層の位置を示しています。この写真の右側が東・平野側。左側が西で高くなっていて,尾根をなしています。写真手前のポールの更に下方のより低いところにみられる断層を詳しく観察しました。右写真の、淡褐色の塊状泥岩からなる西山層の上面(番神砂層で不整合に覆われる)が断層を介して、右上部から左下へ、1m50cm近くずれた正断層をなしています。


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 左の写真は92年に掘削した一つのトレンチの壁面についての荒浜砂丘団研によるスケッチ展開図、右の写真は東京電力による同じトレンチのスケッチの展開図。それぞれ、スケッチの左側は堀込んだ南側の面、中央部が奥の面(西)、右側は北側の面のスケッチ。東電の図は当然ながら、下請けした地質コンサルタントによるスケッチです。最下位の地層は椎谷層(鮮新世の地層,左の写真ではオレンジ色に塗色)。間に後期更新世の地層・安田層(黄緑に塗色)を挟んで、最上位の地層は同じく後期更新世の地層である番神砂層(黄色に塗色)であり、これらの正断層は三層を明瞭に切断しています。

 これらの断層の形成過程に関する議論で最も重大な点は、この断層が奥、すなわち西に向かって50度~60度傾斜していることです。西というのは、現在の地形でいうと、高まり側です。少なくともこの数万年という期間に変位したことが明らかな断層が、現在の平野側ではなく、山側に向かって滑ることなどあり得ません。
 東電は、これらの断層が正断層のみであることや、変位量が下位に向かって小さくなること、断層が下方で面無しになることなどを地すべりとする根拠にあげていますが、いずれも誤った評価であり、科学的に正当な判断とは言えません。下左の写真は、少し広い範囲で見た断層の分布と、二つ目のトレンチの荒浜団体研究グループによるスケッチです。一部、逆断層センスの断層があることが分かります。下右の写真は東電による第一のトレンチの下部の写真。この部分を東電は面無し断層と記述しています。2段目の写真の左側で見れば明らかなように、変位も下ほど大きくなっています。東電はこれを無理矢理、対比のできない地層の変位から下ほど変位量が小さくなっていると強弁しているのです。

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 最後に、小雨の中、断層の観察・記載を行う団体研究メンバー。もう20年以上前だね。みんな結構若い。でも、柏崎刈羽原発の安全性にかかわって、地質科学的にその問題を追求してきた私たちは、福島を経て、今あらためて、私たちの役割を再認識しています。
 
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 東電や規制委との闘いはこれからが本番。調査を継続して、社会に発信していきたいと思います。1月10日にも年明け初会合を予定しています。 

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立石雅昭

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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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