横浜環状南線の事業評価について

 一般国道468号首都圏中央連絡自動車道(金沢~戸塚)の計画が発表されて25年。地元では長きにわたって強力な反対運動が続けられてきた。1988年に結成された「横浜環状道路対策連絡協議会(略称:連協)」には7自治会・町会、8環境守る会,3オブザーバーが加入し、約3500戸の住民が住居の安全を脅かされたくないとの思いで運動を続けてこられた。
 
 国土交通省関東地方整備局がこの事業を継続するかいなか、事業評価監視委員会を1昨年来数回検討対象として審議してきた。連協では、この委員会で地震と地質分野の委員がまったく含まれていないことから、専門分野の委員を加えての検討を求めていたが、委員会は土木地質の外部委員を加えて、2012年11月の委員会でこの委員の意見を聴取して、継続妥当との判断を下した。

地元の方からの要請を受けて、暮れの1日、現地で説明を受けると共に、資料を基に、特に耐震安全性に関わってコメントをいうことで、お引き受けした。これがなかなか、本来の専門から少々離れて、地盤を中心に地震災害をという注文なので、いろいろな資料を引っ張り出しながら、何とか、まとめのめどを付けた。

 それにしても、この事業評価委員会、対象として審議した全ての事業を継続OKとの判断しかしていないのだから。これでは何のための委員会。何か、国土交通省の道路行政も,原発と同じ、初めに事業ありきなんだろうな。

  このでたらめな審議内容、一部を紹介する。

名称未設定 5 これがその計画路線の平面図で、下が簡略な断面図。路線の7割がトンネルまたは半地下構造というしろもの。
横浜環状南 6

 さて、1昨年11月の委員会に提出された地質に関する資料の一部を見てみよう。

横浜環状南 4
  
  厚い沖積層を掘り抜いて高架橋で、という部分。この断面図、深さのスケールがない。
  しかも、それに付随している下の地質層序表
  最初これ見て、この地域の地層の重なりについて,自分の知識が全く無いのかと思った。下末吉層というのが下の方にある。原発の立地問題扱っている人なら誰でも知っていると思うが、下末吉層というのは今から12~13万年前の温暖期に堆積した代表的地層で、各地の同じ時期の地層が中位段丘と呼ばれている。電力事業者はこの地層を切っているかどうかで、活断層かどうか判断できるとしている地層のはず。だって、下末吉層というのはこの横浜市地域が模式地にされているのだから、別の地層を同じ名前で呼ぶことはあり得ない。そうすると、この地域の地層はどのように重なっているのか、大船層や長沼層っていつの時代の地層なのだろう。
   
横浜環状南 2

ところが下に示した、別の図にある層序表。比べて見れば、そのおかしさに誰でも気づくはず。
 上の図だけではなく、ほかにも同じような順序で並べた図がある。

横浜環状南 1

  地質の基本。気づけば、訂正すれば済む。だけど、それをもとに、説明する地盤工学を専門とする外部委員は勿論、監視委員会委員、事務局、誰も気づかず、そのまま、了とする流れ。資料を見ずに話を聞いて、審議しているとしか思えないね。

  ちょっと、知識があれば、洪積層の表示もおかしい。下の方の長沼や大船だって洪積層。
  下請けのコンサルタントの仕事だとしても、それをそのまま受け入れる国土交通省の技官、居るのかな。それにしても、審議にあたっている委員って何?

横浜環状南 3

  最後の盛り土の部分でのシールド工法によるトンネル掘削に関する物性条件。

  この地は南関東地震神縄・国府津-松田断層帯地震、三浦半島断層群地震などで,震度6弱あるいは6強の震度を受けると想定されているところ、ここの道路建設計画にあたって、まともに地震動や液状化の審議が取り上げられない,事業評価って何でしょうね。

 是非、国土交通省関東地方整備局のHPで,事業評価監視委員会の議事録見てみてください。そのお粗末さが分かります。そして次々に、事業継続が認められていく過程が分かります。
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立石雅昭

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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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