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フィンランド、オルキルオト原子力発電所とオンカロ最終処分場の現状

 2014年10月29日から11月6日、日本ユーラシア協会のツアーで、フィンランドのオルキルオト原発とオンカロ最終処分場、およびドイツの廃炉作業の見学に参加してきた。まず、フィンランドでの見聞をまとめておきたい。

1. フィンランドのエネルギー事情と原子力発電所

 フィンランドは、面積約33万8,145平方キロメートル、人口約531万人で、寒冷な気候のために暖房用のエネルギー需要が大きく、製紙・パルプ、冶金産業などエネルギー多消費型産業が立地し、国民1人あたりの一次エネルギー消費量は世界でもトップクラスにある。
 一方、エネルギー資源に恵まれておらず、石油、天然ガス、石炭は、輸入に依存している。エネルギー安定供給の確保はエネルギー政策上の中心的な課題であり、国内資源の開発や省エネルギーの推進が進められ、原子力発電の推進とバイオマス(木質燃料など)を中心とする再生可能エネルギーの利用拡大が積極的に図られている。
現状では、電力供給だけで言えば、原子力は全電力のおよそ3割を占めている。
エネルギー全体では、原発は約16%を占める。
 森と湖の国と称されるように、フィンランドは緩やかな起伏の低平な大地であり、高緯度に位置していて、太陽や風などの自然エネルギーも豊かとは言えない。その中で、エネルギー多消費型産業を維持し発展させるために、原子力発電に依存している。

 フィンランドには2カ所(オルキルオトとロビーサ:図1)に原子力発電所があり、それぞれ、1977年と1979年に操業を開始している。ロビーサには48.8万Kwの原発2基が稼働している。事業者のフォータム電熱は単体で100万Kwの地域熱供給と80~160万Kwの電力供給を想定して3号機の計画を提出したが、2010年、フィンランド政府はフォータム電熱のこ計画を承認しないと決定。
 一方、オルキルオト原子力発電所でも事業者のフィンランド産業電力(TVO)が新たに出力160万Kwの3号機の計画を2000年に提出。政府はこれを認め、アレヴァ社が2005年から建設に着手。しかhし、技術的な問題や予算の大幅な超過(当初30億ユーロ→50億ユーロ以上)などによって、建設が遅れ、今でもいつ稼働できるか見通しがないのが現状。

オルキルオト位置図
図1: オルキルオト原子力発電所とオンカロ最終処分場の位置

2. オルキルオト原子力発電所  
                 (フィンランド産業電力:テオリスーデン・ヴォイマ社TVO)

 オルキルオト原子力発電所は、首都ヘルシンキの北西230㎞のユーラヨキ州、ボスニア湾に面したオルキルオト島にある。 この自治州の人口は約6000人、そのうち500人がこの原発で働いている。

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 図2:オルキルオト原子力発電所  右から1号機から3号機。3号機は建設中。

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 図3:建設中のオルキルオト3号機のイメージ 
 二重構造の原子炉建家、コアキャッチャーと備えた原子炉格納容器、原子炉格納容器の前面に、独立した4系統の冷却システムを備えるイメージが描かれている。

 オルキルオト島の地質に関しては、笹田・宮城(2004)による報告がわかりやすい。
 スカンジナビア半島東部(ノルウエー・フインランド)からロシア北西にかけて広大な盾状地が広がる。盾状地は一般的に、構造地質学的に安定した、先カンブリア時代の結晶質火成岩と高度変成岩からなる広い地域をいう。オルキルオト島の岩石は約19億年前、地下深くでマグマがゆっくり冷却固結した堅硬な花崗岩や変成岩からなる。さらにそれらを12億年前の輝緑岩(ダイアベース)岩脈が貫いている。ただし、フィンランドは氷河時代に厚い大陸氷河で覆われ、温暖化とともに、氷が解けていく過程で、アイソスタティックな隆起が生じ、その時の地殻変動に伴う活断層が所々にある。地震はほとんど発生しない。この時代の岩石は日本では存在せず、また、ヨーロッパでも最も古い岩体とされる。

オルキルオト地質
 図4:オルキルオト島の地質: 水色:ミグマタイト質黒雲母片麻岩、 黄色:灰色片麻岩、赤:花崗岩質ペグマタイト

3. ONKALO(地下岩盤特性調査施設)  核廃棄物最終処分場
 1994年フィンランド原子力エネルギー法が改正され、フィンランド国内のすべての核廃棄物を自国で処分することが明示された。それ以前はロシアへ移送して再処理されていた。2000年にオリキルオトが長期地下貯蔵所として選ばれた。ユーラヨキ州は2003年に施設の建設許可を行い、2004年から建設が始まった。 建設はポシヴァ社(TVOとフォルタム社の共同出資会社)。
 4期の建設計画
  1期(2004年から2009年)地下420mに存在する設備への螺旋状に下るアクセス坑道の開削。  
  2期(2009年)同工程の520m間での継続、貯蔵所設計に反映させる岩盤特性の研究
  3期(~2015年)貯蔵所の建設
  4期(2020年から)使用済み核燃料のカプセル化と埋葬開始
        現在使用済み燃料はそれぞれの原発サイトで仮保管。

オンカロ処分場イメージ
 図5: 地下岩盤特性調査施設(ONKALO)のイメージ
  
フィンランド/ドイツ 065
 図6: 坑道途中の岩盤の産状:灰色片麻岩とそれを貫く花崗岩質ペグマタイト

フィンランド/ドイツ 081
 図7: 坑道奥の切り羽。 この手前で、地下水や岩石物性など、岩盤の特性を調べている。

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  図8: 中・低レベル廃棄物貯蔵所

4. 最終処分場―最適な場所の選定の過程

 1983年閣議決定:2020年までの段階的なサイト選定手続きおよび処分場建設許可申請までの目標時期、処分事業にかかる費用負担等を定めた。おおよそ、このスケジュールで地層処分事業進展。実施主体のTVOはフィンランド地質調査書の協力のもとにサイト選定調査を開始。まず、100~200km2の327広域ブロック抽出。そこから人口密度、交通の便、保護区、地下水盆、土地利用計画等の環境要因を評価するとともに、地質学的検討を加えて61のブロック抽出。さらに、5~10km2程度のサイト特性候補地区を選定。地質学的視点と環境要因によりサイトの適格性検討。始生代の岩石分布2カ所、原生代の岩石分布2カ所、それにオルキルオトを加えた5カ所の選定。その選定結果は貿易産業省(KTM)に報告され、これを規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)に諮り、見解を求める。STUKは大学教授などをメンバーとする評価ボードを持ち、フィードバックをかけている。その結果、STUKは5つのサイトのいずれも異論なし、しかし、地質の多様性解析が不十分とした。その後、5地区について、サイト特性調査(サイト特性概要調査と精密調査)が実施され、それをさらにSTUKがレビューする。絞り込まれた3地区と、1997年には使用済み核燃料が輸出できなくなったロビーサを加えて、4地区で性能評価が行われた。精密調査は1995年からPosiva社が実施。
  サイト選定、精密調査の行われた4地区のサイト特性の調査結果が出されると、環境影響評価の実施と自治体による意志決定へと進む。これを受けて、政府は施設建設が社会の福利と調和するかどうかの原則決定を行う。自治体は原子力法により拒否権が与えられ、公聴会、貿易産業省への意見提出、EIA(環境影響評価)広報官への接触等で住民が環境評価に参加する。レポートを検討した4地区自治体のうち、既設原発のあるユーラヨキとロビーサは賛成多数で受け入れを支持。ポシヴァ社はこのうち、オルキルオトを選択し、政府に原則決定を申請。立石注:最終的にオルキルオトに決めていく過程での主要な要素を担当者に問うたところ、上記のプロセスでもかいま見えるように、政治的決着との答えが返ってきた。
 現在、オルキルオトでは原子力発電所の東側の地区でONKALOと呼ばれる地下研究施設の建設(ここは将来、処分場の一部となる)と、岩盤特性などの精密調査がさらに進められている。特徴は公的資金で母岩の地質学、水文学、地球化学、人工バリアの安定性、母岩の核種移行等、地層処分の安全性に関わる技術的研究と、意志決定に関わる社会科学的研究が行われていることである。



          参考文献・資料

(公財)原子力環境整備促進・資金管理センター:諸外国での高レベル放射性廃棄物処分、フィンランドの地層処分の状 
   況http://www2.rwmc.or.jp/pub/hlwkj201102ed-4.1fi.pdf
フィンランド大使館:フィンランドの核廃棄物:安眠場所を求めて -  http://www.finland.or.jp/public/default.aspx?contentid=231845
笹田 政克・宮城 磯治 フィンランドの地層処分-地質特性と地層処分の事業展開,安全規制-。地質ニュース602号,
  45 ―53頁,2004年10月 Chishitsu News no.602, p.45 ―53, October, 2004
高橋美昭(2)フィンランドにおける地下岩盤特性調査施設(ONKALO)建設の近況 。原子力発電環境整備機構 技術部 
  http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news8/ Onkalo.pdf
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立石雅昭

Author:立石雅昭
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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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