柏崎刈羽原発の耐震安全性ー寺尾断層(2)

ずさんな東電のはぎ取り.トレンチ調査-寺尾断層
  規制庁審査チームは厳正な審査を


   東京電力は柏崎刈羽原子力発電所の敷地北東約600mに位置する,刈羽村寺尾西の旧土砂採取場で,断層のはぎ取り・トレンチ調査,ならびにボーリング調査を昨年の3月以来,およそ10ヶ月行い,この2月にその結果を規制庁審査チームに報告し,石渡明規制委員をはじめとする規制庁審査チームは3月17日に,現地調査を行いました.
  そもそも,この地の断層が問題にされているのは,地元の研究グループが1991年からトレンチを含む地質調査を行い,この地に多数見られる断層を活断層として研究成果を学術雑誌に報告したからです(荒浜砂丘団体研究グループ,1993:新潟県荒浜砂丘地域に発達する後期更新世の断層.地球科学,47巻4号,339-343).この報告に対して,東京電力もそのトレンチを含む土砂採取場の断層の調査を行い,地すべりと結論づけました.当時の資源エネルギー庁もその東京電力の調査報告に沿って,これを地すべりとする見解を発表しました(資源エネルギー庁原子力安全規格審査課,1996:東京電力(株)柏崎刈羽原子力発電所付近の西山丘陵地域の断層について).しかし,東電や資源エネルギー庁の見解には多くの疑問があり,柏崎刈羽原子力発電所の再稼働申請の適合性審査が本格化する昨年1月には,研究グループが,規制委員会に対してその厳正な審査を申し入れていました.規制庁審査チームも敷地内だけでなく,敷地周辺の地殻変動に関するこうした問題を重視し,東京電力に対して地質に係わる多くの課題を指示し,東電は昨年3月来,調査を行い,ようやく,その調査結果を報告する段階にこぎ着けたものです.
  この調査報告はなお,周辺の活断層を地すべりとするものですが,順次その内容を批判していきます.一部はすでにこのブログでも私の意見を述べていますが,きわめて重要な問題であり,規制庁審査チームの厳正な調査を促すために,問題点を列挙していきます.なお,これらの問題点が,研究グループでオーソライズされたら,規制委員会への申し入れと記者会見を行う予定です.

東京電力のA断層は研究グル-プの指摘した断層とは異なる可能性について
  まず,多大な費用と労力を要したと推察される,今回の調査報告の対象とした断層が,荒浜砂丘団体研究グループ(1993)や資源エネルギー庁(1996)のA断層と同一,あるいはその延長だという検証についてです.わたしは,かなり疑わしいと思っています.

次の図は今回の調査の露頭でのはぎ取りとトレンチの図です.
東電はぎ取り

その左上の図(荒浜砂丘団体研究グループ:1993によるトレンチとの位置関係を示しています)を拡大します.
東電はぎ取り位置図
 この図のスケール,全体で25mと言うのは明らかな誤りです.最初の図のはぎ取り図のスケールと照らし合わせると,おそらく,この全長で100mでしょう.こうしたミスは時々ありますから,修正すれば,良いと思います.
問題は,荒浜砂丘団体研究グループや,その後の東電,資源エネルギー庁によるトレンチとの位置関係です.

 次に掲げるのは,資源エネルギー庁の図です.東電が当時行ったほぼ南北方向の露頭のスケッチの引用です(同様の図は研究グループの図にもあります)が,この図で見れば,明らかなように,大きなトレンチ(この図ではAトレンチ,先の位置図では荒浜団研の第1トレンチ)から,南へ40mほどのスケッチがあります.そうすると,当然,A断層の南部は,今回のはぎ取り面(最初の図の右側,一番北にA断層の矢印があります)の断層と重なることになります.この矢印のある高さは36m30cmほどです.
寺尾断層東電スケッチ
 この図の上面は高さ約41m,下面は高さ約36mです. そして,今ひとつ重要な点は,この図では,A断層は安田層(当時は中位段丘相当とされていました)の中を切断していました.しかし,今回のはぎ取り図では,A断層は椎谷層(中新世から鮮新世の地層)と安田層の境界をなしています.
 こうしたことからすれば,同じ断層だとするのに,かなり無理があると言えます.

 規制庁審査チームはまずこの点を東電に検証させるべきです.

  東電は相変わらず,地すべり説に固執していますが,その点についての問題は次回にします.


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立石雅昭

Author:立石雅昭
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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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