柏崎刈羽原発直下の活断層

柏崎刈羽原発敷地直下の活断層の活動性

  東京電力の柏崎刈羽原発の原子炉建屋やタービン建屋など重要構造物の直下には23本の活断層があります。東京電力はそれらの活動年代を30万~20万年前とし、規制基準に言う活断層の活動年代「12~13万年前」より古いので、活断層ではなく、今後活動しない、と強弁。原子力規制委員会もそれを妥当としました。
 規制基準に言う、12~13万年前以降に活動していないことが明らかであれば、今後活動しないという基準は科学的には根拠のないものである。日本における地震活動の評価を統括する地震調査研究推進本部では、2010年に、40万年前以降に活動した断層について,今後も活動する可能性のある断層としての目安にしています。原発の耐震安全性を考える際には、少なくともこの40万年を目安とするべきです。

 東京電力による断層の活動年代の決め手ー刈羽テフラ

 一方、東京電力が敷地内断層の活動年代を30万年から20万年としていますが、この上限の値は、敷地内に見られる刈羽(y-1)テフラ(火山灰)が、下北半島の東沖合、太平洋底でのボーリング掘削で見いだされた火山灰と化学組成が似ていることから、その火山灰の堆積年代をおよそ20万年前と推定しているのです。不思議なことに、対比されるこの火山灰は、唯一、この下北沖だけに産出し、東北地方から関東北部、どこにも見いだされていません。まあ、20万年前というと、高位段丘堆積時ですから、保存が悪く、かつ、未調査も多いので、見いだされていないだけ、という可能性もあります。また、その時代の堆積物は平野地下でもあまり掘削されていません。

 私たちはおよそ25年以上前になりますが、柏崎平野周辺の大地の歴史、形成過程を明らかにするために、調査を進めていました。その調査の中で、敷地の中の刈羽火山灰と同じと考えられる火山を、柏崎刈羽原発周辺の何カ所かでも見いだしていました。柏崎市藤橋でも、かって、新潟工科大学の建設に際しての道路工事で見いだし、藤橋40火山灰と命名し、化学分析を含めて記載しています(荒浜砂丘団体研究グループ、1996)。活断層を記載した刈羽村寺尾西でも見つけていました。東京電力は寺尾西の火山灰は敷地内の刈羽テフラと同一のものであることを認めています。

 この火山灰がなぜ、重要かというと、東京電力は規制基準への適合審査の申請書では刈羽テフラを下北沖のおよそ20万年前の火山灰に対比し、この火山灰を挟む地層を、中位段丘堆積物である,安田層から分離し、より古い時期に堆積した古安田層としているのですが、藤橋における藤橋40火山灰は、中位段丘堆積物安田層の下部に挟まれているからです。刈羽テフラは古安田層、しかし、それと同じ火山灰である藤橋40火山灰が安田層となれば、東京電力の層序の解釈は大きな矛盾を持つことになり、20万年前という根拠が否定されるからです。

 柏崎刈羽原発活断層研究会(荒浜団体研究会とほぼ同じメンバーですが、こちらは原発の安全性を地質学的視点から追求することを目的にしています)では、安田層の堆積した年代を定めるために、福島原発事故後、あらためて調査・検討を進めています。これまでに三度、原子力規制委員会に「厳正な科学的審査」を求めてきました。
 
 7月初めには、藤橋の工科大学前の林道脇の藪で、安田層中の火山灰を掘り出し、火山灰試料を採取しましたが、昨日は少し離れた向陽団地の東の大きな露頭(写真1)で、安田層の観察・記載を行いました。
向陽団地東露頭

 この露頭は、東京電力がすでにその佐藤池新田の露頭(写真2)として、報告しているところと同じものです。よく似ているとは思っていたのですが、東京電力が記載した当時より、左手やや奥を鍵型に掘り込んであり、少し見かけが違っていたのです。

東京電力佐藤池球場

写真1と2を比べると、やや青みがかった灰色の泥層の高さが違います。現在の露頭(写真1)の上部の赤みがかった地層の真ん中にある白っぽい地層のすぐ下までが、写真2では灰色に見えているのです。表面を覆う風化した粘土を取り除くと、新鮮な暗灰色の泥層が出てきます。そして、東京電力の解釈でも、この暗灰色の泥層が安田層下部、白い層(砂)から上が安田層上部に分けられています。

 私たちは,昨日の観察・調査で、この下部の泥層から、3枚の火山灰層準を見いだしました。その中に、藤橋40火山灰と同じ火山灰があれば、東京電力の安田層・古安田層層序の誤りは決定的です。

 刈羽テフラと向陽団地東の露頭の火山灰が同一のものかどうかの対比が決め手
 いくつかの地点に産出する火山灰層が同じものであるかどうかは、その層序、産状、砂粒組成、ガラスの屈折率や化学組成など、いくつかの点について検討しなければなりません
 火山灰の分析には今少し、時間が必要です。分析結果が出れば、またご報告します。

 ちなみに、安田層下部の上半部は海の影響が強い環境で堆積した地層で、地球が温暖で海面が高い時期に堆積しました。この写真の暗灰色の部分です。
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立石雅昭

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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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