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六ヶ所村核燃サイクル施設の耐震安全性

 青森県六ヶ所村の日本原燃(株)による核廃棄物再処理工場などの耐震安全性に関して、依頼を受けて、原稿を書き送りました。この地域の活断層の認定に関して、東洋大学渡辺満久教授ほかの調査によって、日本原燃などの調査・解析の不十分さが指摘されていました(渡辺ほか、2008,2009)。福島原発事故前には地元の日本科学者会議松山力会員や「黙っちゃおられん津軽の会」の方たちとともに、それらの報告について地質学的な調査を現地で行ってきましたが、福島事故後はほかの地域の調査に出かけることが多く、この地域については、原子力規制委員会での審査さえ十分にをフォローできていませんでした。原稿執筆依頼を受け、原燃などの報告を見直してみて、原子力規制委員会の審査の杜撰さをあらためて感じています。その一端をここにご紹介します。

 出戸西方断層の露頭
出戸西方断層 
 六ヶ所村の核燃サイクル施設のすぐ北を東流する老部川の左岸(北側)に見られる出戸西方断層の露頭です。日本原燃と東京電力による、この露頭のスケッチを示します。
出戸西方断層スケッチ東京電力出戸西方断層スケッチ
 両者とも、2008年の資料です。似たようなスケッチに見えます。この露頭で確認される逆断層の最新の活動時期について、両者とも、十和田レッド(To-Rd)火山灰(およそ8万年前)までが変位に巻き込まれていることを示している点では共通しています。しかし、大きく違うのは、大きくずれた中期中新世の基盤(鷹架層)の上位に不整合で重なる段丘堆積物の年代です。
 日本原燃は、右下、段丘堆積物の上位に重なる風成のローム層中の阿蘇4(Aso-4:8.5~9万年前)をもとに、この地点の段丘を中位段丘のM3面としています。一方、東京電力は、原燃による露頭の更に西まではぎ取って、そこに洞爺(Toya)火山灰(およそ11.2~11.5万年前)を見いだし、その段丘を中位段丘のM1面としているのです。
 原子力規制委員会はこの出戸西方断層の評価に関わる、両電力事業者の解釈の違いを詰めること無く、日本原燃の評価を妥当としました。一方で、原子力安全保安院は東京電力の東通原発の審査においては,東電の解釈を妥当として、設置許可を出していたのです。
 なお、原燃のこの露頭に関する調査時期は、東電が調査した時期よりも後です。東電はこの場で二つの露頭を記述していますが、原燃調査に際にはそのうちの一つはすでに無くなっていました。

  断層が観察されるこの段丘の年代の違いは、六ヶ所悪念サイクル施設の敷地やその周辺の地殻変動の解析に関わって大きな問題なのです。

 六ヶ所撓曲を形成する敷地直下の六ヶ所断層
 両者の露頭スケッチにおける重要な共通点はもう一つあります。それは地表面の傾斜です。いずれも、西の標高28mから東の24.5mほどの高さまで、緩やかに傾斜した地形面が描かれています。その間に,段丘崖と呼ばれる急な崖地形はありません。
 渡辺ほか(2008,2009)は、この明瞭な段丘崖を示さない、高く位置する古い段丘面が、緩やかな勾配で傾き下がり、低い面に連なることを重視し、敷地ならびに周辺地域のこの地形を六ヶ所撓曲と呼んでいます。
 六ヶ所撓曲
 そして、渡辺ほか(2008,2009)はこの撓曲地形を形成するためには、撓曲地形の東端部から、西に傾き下がる逆断層が地下に埋もれていて、それが中位段丘堆積後、たびたび動いて、西側が隆起市、東に傾き下がる地形を形成したとしているのです。
 図の右下に示すように、電力事業者や原子力規制委員会の解釈はこの撓曲地形の否定によって成り立つのです。出戸西方断層の露頭の地形をはじめ、その北から、核燃サイクル施設の南まで、およそ15kmに渡って撓曲地形が認められます。

 日本原燃ならびに原子力規制委員会は、あらためて、出戸西方断層と六ヶ所断層について科学的評価を行うべきです。
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立石雅昭

Author:立石雅昭
立石雅昭のブログへようこそ!
 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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