柏崎刈羽原子力発電所の敷地内の断層について(3)

 柏崎刈羽原発活断層問題研究会は、4月初頭、原発敷地内の火山灰(刈羽テフラ)と敷地周辺の火山灰(藤橋40火山灰)とが層序学的にも、また化学組成上も同一のものと公表しました。以降、東京電力(株)は2度にわたって「見解」を出すとともに、6月20日には全県に新潟日報への新聞折り込みチラシを配布しました。ただし、柏﨑地域のものにくらべて、新潟市域のものでは少し簡略にされています。

東電チラシトップ 東京電力(株)が6月20日に柏﨑地域で配布したチラシの表題。

 このチラシは、「簡明で分かりやすい」という評価もありますが、東電としての見解を単純化しただけで、科学的に見れば、「ウソ」でもって国民・県民を欺くものでしかありません。「活断層ではない」と繰り返すだけで、「安全神話」の焼き直しです。

活断層とは何か?

東電活断層 東電チラシの「活断層は何か」への回答
 その典型がこれ。もっともらしく書かれていますが、活断層の定義を書いたこの回答自体にウソがあります。一般の地震(例えば、東南海地震や首都圏直下地震など)を予測する国の地震調査委員会は今後活動しうる断層の目安を数10万年前以降に活動した断層としています。12~13万年前という基準は原子力業界が、福島原発事故前の2006年に、独自に定めたものです。それまでは5万年としていました。2重・3重のウソを重ねた回答です。正しく書くならば、「国の原子力安全委員会が、2006年に、活断層を12~13万年以降に活動したものとしました。それに照らせば、敷地内断層は活断層ではありません。」と書くべきです。福島原発事故の教訓は生かされていません。

 最も国民・県民を愚弄しているのは、次の項です。

 柏﨑市中位段丘を構成する地層

東電柱状 敷地内の地層の積み重なりに関する解釈(左)と、同じ火山灰が見いだされた柏崎市藤橋地域の地層の積み重なりの解釈(右)です。
 藤橋地域は中位段丘が分布する地域なので、その地表面は12~13万年にせざるを得ません。この図では藤橋地域の火山灰が、敷地内のものと同じと言うことが書かれていますが、地面の下の地層がどのように重なっているのか全く書かれていない白抜きのままです。調査していないので分からないのであれば、そう書くべきです。

東電藤橋柱状加筆 東電の解釈に沿って、私の方で書き加えれば、上図の右側の柱状はこのようになります。東電の解釈に基づけば、20~30万年前の地層と12~13万円前の地層の境界が藤橋40火山灰の上位にあるが、調査を行っていないので、どこにあるかは分からないというのが実態です。、

藤橋の柱状研究会 一方、活断層問題研究会の調査・解析に基づけば、藤橋地域の地層の積み重なりはこのようになります。地表の崖などで観察されるのはたかだか20mほどですので、下部がどのようになっているのかは分かりません。
 だからこそ、より精細な調査が必要なのです。

 私たち、研究会は引き続き、現地での調査とともに、必要に応じて、ボーリング掘削で下位の地層と12~13万年前の地層の関係を明らかにしていきます。 

 東電の見解に対して、研究会としても、東電解釈の問題点を「科学を踏まえて」分かりやすく国民・県民に知らせるべく努めます。
 巻原発の建設を止めた県民の良識、あふれる情報の中で正しいものは何かを見抜く力に信頼を寄せて、新しく見いだしたものも含めて科学的知見を発信していきます。
  
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下北沖海底火山灰

 東京電力がより所にしている発電所の火山灰と下北沖海底火山灰が同じ成分で約20万年前に堆積したものであるというのは信憑性があるのでしょうか。
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立石雅昭

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 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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