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自治体学校 分科会「原子力地域防災と再生可能エネルギー自立への道」

第57回自治体学校in金沢
 
  7月下旬の3日間,金沢でひらかれますが, 初日,記念講演が 宮本憲一さん, 私はこれまで,なかなか機会が無く,お話を伺えませんでしたが,ようやくかないそうです.

自治体学校パンフDSC_0171

 2日目に開催される分科会,その第3分科会のテーマが「原子力地域防災と再生可能エネルギー自立への道」ということで,地元実行委員会から依頼されて,助言者をお引き受けしました.1昨年,新潟で開催した際は,地元実行委員長をお引き受けしたのですが,今回はフル日程で参加できそうです.

 ここに,昨日,事務局に送ったレジメの一部を紹介します.

ーーーーーーーーーーーーー
3. 実効性ある原子力防災/避難計画を求める運動

 実効性ある防災/避難計画を求める運動は,原発再稼働に反対する運動を立地並びに周辺地域で大きく前進させる上で,重要な環の一つになっている.稼働を求めるあるいは賛成という立場の人にとっても,安全性の確立は切実な要求であり,まして,原発の再稼働が現実になってきた今日,立地並びに周辺地域の住民の命を守る運動として大きく発展させなければならない課題となっている.住民の命と暮らしを守る立場で行政を進める自治体にとっても,この課題は,起こりうる原発の過酷事故から住民の被ばくを防ぐ,きわめて重要な課題であり,立地並びに周辺自治体にとって,防災/避難計画を策定することは,困難ではあるが,少しでも実効性を高める観点からの取り組みが求められている.
《中略》

 (1) 複雑で難解な,原子力防災・避難の仕組み
 原発での事故の状況を的確に判断し,必要な体制を講じて,住民の被ばくを防ぐシステムがきわめて煩雑である.原子力災害対策重点区域は原発からの距離によって大きく3つに分けられている.事故による放射能の放出前に予防的防護措置(避難等)を準備する区域(5km圏内),環境モニタリング等の結果を踏まえ,避難・屋内待避等を準備する緊急防護措置を準備する区域(5~おおむね30km圏内),プルーム通過時の被ばくを避ける防護措置を実施する地域でおおむね30~50圏内.そして,緊急事態のレベル区分も3つに分けられ,その判断基準が示されている.これを緊急事態判断基準(EAL)と呼んでいる(資料3.4).さらに,「避難」などの防護措置は,被ばく状態や汚染状態をさらに細かく区分した運用上の介入レベル(OIL)と呼ばれる基準に沿って定められている.
  資料3.  中央防災会議資料より
避難EAL
  
  (こうなると,自治体職員で十分理解できる人ってどれだけいるのでしょうね.)

(2)防災・避難計画を検討する際のいくつかの視点
  まず,原発で生じている異常事態を正しく把握し,それを正確に伝える.これが基本.福島では事態の把握も,正確な情報の発信もなされなかった. 15条通報に至れば,それを受けて,災害対策本部(官邸),現地対策本部(オフサイトセンター),さらには道府県に対策本部が立ち上げられ,それぞれの役割分担に応じて,機能的に判断,指示する仕組みになっている.組織体制はが作り上げられていると言うことと,緊急時にそれがうまく機能するかどうかは別の問題.福島の経験からすれば,まず正確な情報発信が行われず,その通報に基づく判断も,15条通報から避難指示が出るまで,4時間以上のロスがあった.事前の度重なる訓練で,当初の目的通り機能するかどうかのチェックが必要.
  その上で,現在の計画の大きな課題は
災害弱者援護の視点の欠落:例えば,福井エリアの検討結果では,欠落.現状ではそれぞれの施設任せ.
複合災害の視点の欠落: 自家用車あるいはバス等で避難する際,高速道は地震等で被災し,ほぼ直ちに通行止めとなり,ほとんど使用をあてにできない.しかし,福井エリア検討結果では,災害時における高速道通行対象車両は「応急対策車両」となっており,避難車両は含まれない.そこで,避難する車両には交通規制をかけないという方法も可能かどうか打診し,可能との見解を確認したでとどまっている.船舶による避難(愛媛の伊方原発や石川の志賀原発など)を考える際も,港湾施設が被災したり,悪天候で着岸できない場合があることを想定しておかねばならない. 現状の避難計画はほとんど絵に描いた餅,数合わせに過ぎない.
汚染地域への運転手.医療従事者,ヨウ素剤配布等,避難/防護に必要な人材派遣が可能か:現行法制下では,自治体首長は公務員あるいは一般民間人にどこまで指示/命令が可能なのか.この点は新潟の県知事から原子力規制委員会へその法的整備を求めた要望書が数回にわたって提出されている.
避難の長期化への無策:福島の現状を見れば,避難が長期化することが予想されるが,防災/避難計画は避難するまでで終わっている.現実に予想される様々な混乱・苦難に対して無策.

4. 2030年のエネルギー構成政府案
 2013年7月の新規制基準公布を受け,電力事業者は全国14原発23基の原発再稼働を申請している.一方,この4月に,経産省資源エネルギー庁は2030年時点でのエネルギーミックス案を提示(資料5),7月1日まで意見(パブリックコメント)を公募していた.
 
 資料5 2030年のエネルギー構成案(経産省資源エネルギー庁資料から)
energy mix

 このエネルギーミックス案では,2030年の電力需要推計は17%の省エネを見込んで,10,650億kwh/年であり,その20%~22%を原子力でまかなうとすると,2030年時点で原発による発電電力量は約2130~2343億kwh/年となる.その電力を生み出す原発の設備容量は,稼働率70%と見込むと,3474~3821万kwが必要となる.福島原発事故後,廃炉が決まったのは,福島第1原発の6基と,原子炉等規制法(炉規法)の「改正」で原則40年とされた運転期間の関係で,日本原電の敦賀1号,関西電力の美浜1・2号,中国電力の島根1号,九州電力の玄海1号の計5基である.したがって現在の日本における原発の設備容量は43基の4363.5万kwとなる.炉規法40年 の原則を当てはめれば,2030年には18基,1918万kwとなる.政府が維持したいと考える設備容量の55%しかない(資料6).
  資料6 原子力発電の40年運転制限制
エネルギーミックス

 どうするか,現在申請中の23基すべての原発の再稼働に加えて,
  1)事故前には60%前後だった稼働率を80%に高める.
  2)すでに設置許可が下りている電源開発の大間原発,中国電力の島根原発を稼働させる,東電の青森東通原発も?
  3)43基の半分は炉規法で1回だけ認められている60年へ稼働年数を延長させる.

 これらの方策の実現はいずれも簡単ではない.原発のリプレースや新設が必要だとする動きが強まることが想定される.

  《後略》
---------------------

 自治体学校,大変興味深い内容なのですが,議員や自治体職員を対象としている側面が強く,少々高額.著うっと参加しづらいところがありますね.



 

伊方原発,断層長480kmでも基準地震動650ガル!?

 四国電力の伊方原発,原子力規制委員会による審査書案がパブリックコメントにかけられています.今日,6月19日が締め切りです.この審査書案には伊方原発の耐震安全性にかかわって大きな問題があります.何より,耐震設計の基礎になる,基準地震動の策定にかかわる問題です.審査の結果,規制基準に適合していることを確認したとされますが,その根拠が書き込まれていません.
 先のブログでは,伊方原発が位置する佐田岬半島はこの12~13万年の間に,30m近く隆起してきたことを現地での観察を踏まえて述べましたが,四国電力も,規制委員会も,佐田岬が隆起してきた過程について,解析を行っていません.
 さらにここでは,四国電力が行った新しい基準地震動について,簡単に見てみます.

 特定震源
  上図は昨年暮れに,四国電力が基準地震動を見直した際の活断層中央構造線の長さに関する資料です.中央構造線に関して3つのケースを検討しています.最も長い,東は近畿地方金剛山地から,西は大分県大分平野に延びる,全長480kmの中央構造線を見積もっています.

  伊方原発の沖合海底に見いだされた伊予灘断層の分布を,衛星写真の上に重ねたのが次の図です.
中央構造線伊予灘断層

 原発に近接して,中央構造線の一部をなす伊予灘断層西部が半島に近接して走ることが見て取れます.この断層は伊方原発の建設時にはその活動性が否定されていました.高知大学岡村 眞教授らの調査で,この図のやや東,上灘沖でその活動性が指摘されて初めて,四国電力もその活動性を認めました.そして,東北地方太平洋沖地震を踏まえて,断層の連動の可能性を考慮することとなり,最大480kmの連動で,巨大な地震が起こる可能性が考慮することとされたのです.

 断層長480kmで,基準地震動650ガルは低すぎます.
 
 ところが,この長大な断層による基準地震動の値は,650ガル.この値は,2007年,新潟県の東京電力柏崎刈羽原発を襲った中越沖地震の教訓を踏まえ,原子炉関連構造物や機器・配管に大きな影響を与える短周期の地震動について,1.5倍に引き上げて策定したものです.
 それまで,その1/3の長さの130km,あるいは伊予灘断層などが単独で動くとして求められていた値,570ガルに比して,480kmと伸ばしても,その上積み分はわずか,80ガルです.この値について,東大地震研纐纈一起教授は,これだけしか変わらない,という結果に対して,「違和感」を感じるとし,「もう少し大きくなってもいい気はする」と述べています(愛媛新聞3月21日付).
  地震を引き起こす断層を特定した上で,その断層から発せられる地震動を推定する手法は種々改良が加えられてきましたが,その計算の過程では,地震の発生する深さの幅(中央構造線ではどのケースでも12kmと見積もられています),断層の傾き,応力降下量(アスペリティーと呼ばれる岩盤が固く癒着した部分で,壊れると大きな地震動を発生する部分で,推定される破壊の前後の力の低下量,大きければ,それだけ放出されるエネルギーが大きくなる),など,さまざまなパラメーターが必要ですが,これらのパラメーターを操作して,発生する地震の規模を過小に押さえ込むことが可能となります.地震動を低く見積もる手法の問題点は,大阪府立大学名誉教授の長沢啓行氏が,伊方原発訴訟における意見書(http://www.ikata-tomeru.jp/wp-content/uploads/2012/01/nagasaw107goushou.pdf)で,指摘されています.
 長沢氏は,伊方だけではなく,川内,大飯・高浜,そして,この伊方,と各地の原発における地震動評価の問題を科学的・系統的に解析されています.それに対する電力事業者や規制委員会からの科学的反論は見たことがありません.

  原子力規制委員会は,伊方原発の規制基準適合判断を撤回し,耐震安全性に関する厳密な科学的審査を改めて行うよう求めます.

 
 

  

四国電力,伊方原発の立地地盤は活構造地域


四国電力の伊方原子力発電所は,佐田岬半島の根元に立地します.
衛星写真
佐田岬は奇妙な形をしています.どうしてこのような地形ができたのでしょうね.
衛星写真には伊方原発が見えますが,ここで事故が起こり,放射能が放出されると,半島の西の方たち(5千人の人口とお聞きしました)はどう避難するのでしょうか.海路しかないのではないでしょうか.

この佐田岬は12~13万年以降,30mも隆起しています.
少し詳しくみると,伊方原発の立地する場には段丘がありませんが,約3km西の伊方町大成からさらに西,佐渡岬の先端にかけて,中位段丘と呼ばれるおよそ12~13万年の海で堆積した地層からなる段丘が、標高25m~30mの高度で分布しています.以下の図は四国電力が平成21年に,当時の安全保安院のワーキンググループに示したデータ(WG3第16-2-5号)に記述された資料です.

段丘高度

この図の縦軸は標高.横軸は距離です.図のM段丘が中位段丘.より高いところにこれも東西に描かれているのは高位段丘で,20数万年前から30万年前頃の堆積物です.
下の写真は深い霧の中でしたが,昨日,地元の方に案内していただいて見てきた,伊方町大成の段丘の遠望です.
DSC_0158.jpg
 さほど大きな平坦面ではありませんが,明らかに段丘地形です.手前の小屋の脇の電柱の少し上の中腹に家屋が見えていますが,この家屋の建つ面が段丘面です.ここではおよそ30mの高さにあります.

 先に挙げた四国電力の報告の中にこの港の遠景写真があったのを頼りに,急遽,案内していただいたものです.

 12~13万年前,地球は今よりも暖かく,海面も今より少し高かったとされています.しかし,高いと言っても、今の海面よりは5mほどです.その海の堆積物が今,高さにして,30mの位置しているのですから,12~13万年の間にそれだけ隆起したことになります.
 その隆起運動が地震に伴う隆起であるのかどうか、その重要な手がかりの一つは,海岸の崖の下に広がる,隆起海食棚ですが,佐田岬半島では,海に面したこうした崖の下に,隆起した海食棚が見られません.しかし,隆起したことは事実です.

 原発立地地域の地形形成過程を無視する電力事業者と規制委員会

四国電力はもとより,その耐震安全性にお墨付きを与えた原子力規制委員会も,この半島が12~13万年の間に,どのようにして,隆起してきたという事実を全く説明していません.
  2006年に改訂された原子力発電所(軽水炉)の耐震設計審査指針では,立地地域の変動地形学的著巣あを含めて,周辺の地形形成過程を明らかにすることを求めています.しかし,この要求項目に関わり,原発立地地域の地形形成仮定を説明している原発はありません.
 原発が立地する地盤はその多くが標高20~30mの段丘面上,あるいはそれを削ってより低く平にならした地盤に建てています.ほぼすべての原発が,この12~13万年の間に20mから30m近く隆起してきたこと過程を明らかにしなければならないはずです.

 伊方原発の耐震安全性の確認を求めます

 伊方原発の耐震安全性を確認したというなら,この半島の隆起とそれをもたらした断層運動に関する審査結果を公開するべきです.

 

福島第一原発1号機原子炉建屋4階の調査について

福島第一原子力発電所1号機原子炉建屋4階の調査について

  2015年2月21日、新潟県に原子力発電所の安全管理に関する技術委員会委員5名が、福島原発事故の検証の一環として、東京電力の案内で、1号機原子炉建屋の4階での現地調査・観察を行いました。委員として福島第一原発を訪れるのは二回目。前回は免震棟と一~4号機周辺、それと5号機の中でしたが、今回は委員のお一人田中三彦さんの強い要望で、1号機の4階、ということになりました。実現の運びになったのは、県の原子力安全対策課と東京電力の間の粘り強い話し合い・調整があったからです。特に東京電力には調査実現に向け、事前の下調べも含めて、多大な労力と時間をかけました。なにせ、原子炉建屋の中は、全体としてまだ高線量、場所によると200だとか、300mSv/h のポイントがまだらにありますし、がれき撤去もできていません。足場が悪く、水も抜けきっていないところもあります。案内する側として大変な気苦労だったろうと思います。なお、調査に際しては、余分な物は一切持たない、その代わり、線量計測と、写真・ビデオについては同行する東電社員の方で可能な限り応じる、と言うことでした。いくつかの写真は調査後、提供された物です。
 各自線量計を身につけていますが、8mSvになったら、調査を終え、退出、と言うことにしました。私の線量計はトータル7.84、高い人は8を超えていたようです。

 写真の左,黄色いヘルメット姿が私です。
IMG_9448.jpg

 とりあえず、写真のみ、掲載しておきます。文章は少しずつ,手を入れます。ご容赦を。
 22日の新潟日報にも掲載されていた写真です。
 オレンジ色がIC(非常用復水器)本体です。南側から臨んでいます。
IMG_9496.jpg

 この本体の近影。
IMG_9509.jpg
 白くはがれ落ちているのはすべて保温材。

 このIC本体の北側とその周辺保温材の損傷はより軽微です。
 しかし、北側にはぐにゃりと曲がった鉄筋を何本も含むコンクリートがれきが大量にあります。その周辺では80mSv/hが観測されました。

 問題になっていたのが、SLC(ホウ酸水注入)系の状況。この周辺はこれまで未調査。この間、この付近が着火点という調査報告書について、線量がさほどでなければ、見てみたいがという要望が委員から出され、調査しようと言うことで、東電は事前に周辺の線量を測定しつつ、初めてこの機器周辺を見た由です。政府事故調ではこの周辺が水素爆発の着火点としていますが、この周辺はほとんど損傷がありません。ただ、ダクトは破損し,垂れ下がっています。
 IMG_9478.jpg

 終了後の講評/記者会見では、委員こもごも、得られた資料(映像や写真)等の総合的解釈が必要と発言されていましたが、その通りだと思います。委員の間での意見交換/討論も必要です。
  ただ、講評の中で、見たくても見れなかった、明かりが足りない,との意見がありました。それは国会事故調が、地震発生当時、4階で作業していた協力企業社員数人が目撃していた出水について、規制委員会の事故分析検討会の中間報告で出水箇所とされている場の確認ができなかったからです。
 目撃した社員の出水目撃箇所に関する規制委資料(中間報告書)の写真。
出水箇所1
 
その付近の設備の説明図です。
出水箇所拡大3
 規制委事故分析委員会は、「IC系ベント配管や、電線管、ダクトなどは水が通る可能性がなく、水が通る可能性のあるドレンライン⑨や溢水防止チャンバーからのドレンライン⑱は、現地調査で配管損傷や破断等は確認されなかったことから、出水箇所となる可能性のある設備は『溢水防止チャンバ』のみと判断し、出水は使用済み燃料プールのスロッシングで溢水防止チャンバに流れ込んだ水が、溢水防止チチャンバのパネル結合部の隙間から漏れた可能性」を指摘している。

 で、この場所を拡大したのが次の規制委事故分析中間報告の写真。
4階出水破断1
 ここで問題になるのは、白く見える①IC系ベント配管を右に追って、数字の⑤から⑥の下に見られる亀裂。規制委事故分析検討委ではこの写真を見ながら、この亀裂のように見えるものを何ら検討していませんが、田中さんに言わせると,これは単なる光の加減でそう見えるだけなのか、それとも、配管に亀裂が走っているのではないのか。そして、この亀裂は、IC系配管が地震によって損傷した可能性を示しているので、ここを検証したかった。この写真はかなり明るいが、今回の調査ではこれほどの明かりはなかったのではないか、と主張されているのです。
 確かにこの拡大写真では、亀裂のように見えます。爆風でできた傷には見えないですね。規制委員会の事故分析委員会は現調で、周辺の配管等に損傷や破断はないと言っていますが、これは現物を見て検証したわけではないと思われます。ここは天井に近く配管等が張り巡らされた箇所で、近づいて、観察したり、手に触ってみることは不可能です。写真で判断するしかないと思います。水が通っていない配管から出水はしないでしょうから、出水のメカニズムは別にして、これが亀裂だとすれば、地震によって配管等が損傷した可能性を示す物として大きな問題ですね。

  大物搬入高のふたの問題も含めて今少し検討が必要です。(未完)

フィンランド、オルキルオト原子力発電所とオンカロ最終処分場の現状

 2014年10月29日から11月6日、日本ユーラシア協会のツアーで、フィンランドのオルキルオト原発とオンカロ最終処分場、およびドイツの廃炉作業の見学に参加してきた。まず、フィンランドでの見聞をまとめておきたい。

1. フィンランドのエネルギー事情と原子力発電所

 フィンランドは、面積約33万8,145平方キロメートル、人口約531万人で、寒冷な気候のために暖房用のエネルギー需要が大きく、製紙・パルプ、冶金産業などエネルギー多消費型産業が立地し、国民1人あたりの一次エネルギー消費量は世界でもトップクラスにある。
 一方、エネルギー資源に恵まれておらず、石油、天然ガス、石炭は、輸入に依存している。エネルギー安定供給の確保はエネルギー政策上の中心的な課題であり、国内資源の開発や省エネルギーの推進が進められ、原子力発電の推進とバイオマス(木質燃料など)を中心とする再生可能エネルギーの利用拡大が積極的に図られている。
現状では、電力供給だけで言えば、原子力は全電力のおよそ3割を占めている。
エネルギー全体では、原発は約16%を占める。
 森と湖の国と称されるように、フィンランドは緩やかな起伏の低平な大地であり、高緯度に位置していて、太陽や風などの自然エネルギーも豊かとは言えない。その中で、エネルギー多消費型産業を維持し発展させるために、原子力発電に依存している。

 フィンランドには2カ所(オルキルオトとロビーサ:図1)に原子力発電所があり、それぞれ、1977年と1979年に操業を開始している。ロビーサには48.8万Kwの原発2基が稼働している。事業者のフォータム電熱は単体で100万Kwの地域熱供給と80~160万Kwの電力供給を想定して3号機の計画を提出したが、2010年、フィンランド政府はフォータム電熱のこ計画を承認しないと決定。
 一方、オルキルオト原子力発電所でも事業者のフィンランド産業電力(TVO)が新たに出力160万Kwの3号機の計画を2000年に提出。政府はこれを認め、アレヴァ社が2005年から建設に着手。しかhし、技術的な問題や予算の大幅な超過(当初30億ユーロ→50億ユーロ以上)などによって、建設が遅れ、今でもいつ稼働できるか見通しがないのが現状。

オルキルオト位置図
図1: オルキルオト原子力発電所とオンカロ最終処分場の位置

2. オルキルオト原子力発電所  
                 (フィンランド産業電力:テオリスーデン・ヴォイマ社TVO)

 オルキルオト原子力発電所は、首都ヘルシンキの北西230㎞のユーラヨキ州、ボスニア湾に面したオルキルオト島にある。 この自治州の人口は約6000人、そのうち500人がこの原発で働いている。

フィンランド/ドイツ 042
 図2:オルキルオト原子力発電所  右から1号機から3号機。3号機は建設中。

フィンランド/ドイツ 048
 図3:建設中のオルキルオト3号機のイメージ 
 二重構造の原子炉建家、コアキャッチャーと備えた原子炉格納容器、原子炉格納容器の前面に、独立した4系統の冷却システムを備えるイメージが描かれている。

 オルキルオト島の地質に関しては、笹田・宮城(2004)による報告がわかりやすい。
 スカンジナビア半島東部(ノルウエー・フインランド)からロシア北西にかけて広大な盾状地が広がる。盾状地は一般的に、構造地質学的に安定した、先カンブリア時代の結晶質火成岩と高度変成岩からなる広い地域をいう。オルキルオト島の岩石は約19億年前、地下深くでマグマがゆっくり冷却固結した堅硬な花崗岩や変成岩からなる。さらにそれらを12億年前の輝緑岩(ダイアベース)岩脈が貫いている。ただし、フィンランドは氷河時代に厚い大陸氷河で覆われ、温暖化とともに、氷が解けていく過程で、アイソスタティックな隆起が生じ、その時の地殻変動に伴う活断層が所々にある。地震はほとんど発生しない。この時代の岩石は日本では存在せず、また、ヨーロッパでも最も古い岩体とされる。

オルキルオト地質
 図4:オルキルオト島の地質: 水色:ミグマタイト質黒雲母片麻岩、 黄色:灰色片麻岩、赤:花崗岩質ペグマタイト

3. ONKALO(地下岩盤特性調査施設)  核廃棄物最終処分場
 1994年フィンランド原子力エネルギー法が改正され、フィンランド国内のすべての核廃棄物を自国で処分することが明示された。それ以前はロシアへ移送して再処理されていた。2000年にオリキルオトが長期地下貯蔵所として選ばれた。ユーラヨキ州は2003年に施設の建設許可を行い、2004年から建設が始まった。 建設はポシヴァ社(TVOとフォルタム社の共同出資会社)。
 4期の建設計画
  1期(2004年から2009年)地下420mに存在する設備への螺旋状に下るアクセス坑道の開削。  
  2期(2009年)同工程の520m間での継続、貯蔵所設計に反映させる岩盤特性の研究
  3期(~2015年)貯蔵所の建設
  4期(2020年から)使用済み核燃料のカプセル化と埋葬開始
        現在使用済み燃料はそれぞれの原発サイトで仮保管。

オンカロ処分場イメージ
 図5: 地下岩盤特性調査施設(ONKALO)のイメージ
  
フィンランド/ドイツ 065
 図6: 坑道途中の岩盤の産状:灰色片麻岩とそれを貫く花崗岩質ペグマタイト

フィンランド/ドイツ 081
 図7: 坑道奥の切り羽。 この手前で、地下水や岩石物性など、岩盤の特性を調べている。

フィンランド/ドイツ 079
  図8: 中・低レベル廃棄物貯蔵所

4. 最終処分場―最適な場所の選定の過程

 1983年閣議決定:2020年までの段階的なサイト選定手続きおよび処分場建設許可申請までの目標時期、処分事業にかかる費用負担等を定めた。おおよそ、このスケジュールで地層処分事業進展。実施主体のTVOはフィンランド地質調査書の協力のもとにサイト選定調査を開始。まず、100~200km2の327広域ブロック抽出。そこから人口密度、交通の便、保護区、地下水盆、土地利用計画等の環境要因を評価するとともに、地質学的検討を加えて61のブロック抽出。さらに、5~10km2程度のサイト特性候補地区を選定。地質学的視点と環境要因によりサイトの適格性検討。始生代の岩石分布2カ所、原生代の岩石分布2カ所、それにオルキルオトを加えた5カ所の選定。その選定結果は貿易産業省(KTM)に報告され、これを規制機関である放射線・原子力安全センター(STUK)に諮り、見解を求める。STUKは大学教授などをメンバーとする評価ボードを持ち、フィードバックをかけている。その結果、STUKは5つのサイトのいずれも異論なし、しかし、地質の多様性解析が不十分とした。その後、5地区について、サイト特性調査(サイト特性概要調査と精密調査)が実施され、それをさらにSTUKがレビューする。絞り込まれた3地区と、1997年には使用済み核燃料が輸出できなくなったロビーサを加えて、4地区で性能評価が行われた。精密調査は1995年からPosiva社が実施。
  サイト選定、精密調査の行われた4地区のサイト特性の調査結果が出されると、環境影響評価の実施と自治体による意志決定へと進む。これを受けて、政府は施設建設が社会の福利と調和するかどうかの原則決定を行う。自治体は原子力法により拒否権が与えられ、公聴会、貿易産業省への意見提出、EIA(環境影響評価)広報官への接触等で住民が環境評価に参加する。レポートを検討した4地区自治体のうち、既設原発のあるユーラヨキとロビーサは賛成多数で受け入れを支持。ポシヴァ社はこのうち、オルキルオトを選択し、政府に原則決定を申請。立石注:最終的にオルキルオトに決めていく過程での主要な要素を担当者に問うたところ、上記のプロセスでもかいま見えるように、政治的決着との答えが返ってきた。
 現在、オルキルオトでは原子力発電所の東側の地区でONKALOと呼ばれる地下研究施設の建設(ここは将来、処分場の一部となる)と、岩盤特性などの精密調査がさらに進められている。特徴は公的資金で母岩の地質学、水文学、地球化学、人工バリアの安定性、母岩の核種移行等、地層処分の安全性に関わる技術的研究と、意志決定に関わる社会科学的研究が行われていることである。



          参考文献・資料

(公財)原子力環境整備促進・資金管理センター:諸外国での高レベル放射性廃棄物処分、フィンランドの地層処分の状 
   況http://www2.rwmc.or.jp/pub/hlwkj201102ed-4.1fi.pdf
フィンランド大使館:フィンランドの核廃棄物:安眠場所を求めて -  http://www.finland.or.jp/public/default.aspx?contentid=231845
笹田 政克・宮城 磯治 フィンランドの地層処分-地質特性と地層処分の事業展開,安全規制-。地質ニュース602号,
  45 ―53頁,2004年10月 Chishitsu News no.602, p.45 ―53, October, 2004
高橋美昭(2)フィンランドにおける地下岩盤特性調査施設(ONKALO)建設の近況 。原子力発電環境整備機構 技術部 
  http://www.jsce.or.jp/committee/rm/News/news8/ Onkalo.pdf
プロフィール

立石雅昭

Author:立石雅昭
立石雅昭のブログへようこそ!
 福島原発の事故直後に新潟大学を退職。地質学を専門としています。それまでも原発の地盤問題に携わってきましたが、福島原発の事故はあらためてその恐ろしさを認識させてくれました。原発ゼロの運動を広げるために、新潟を中心に活動していますが、twitterやfacebookで書ききれない情報や思いを伝えられればとの思いからブログを始めました。よろしくお願いします。

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